お金が生まれなければ私達は孤独だった?お金の歴史を振り返る!

部室

お母さん、お元気ですか?
私は今学校の屋根裏部屋でお金のことを勉強しています。ひょんなことから芹沢部長に、この部活に入れられてしまい、なぜか秘密を守らないといけないわけなのです・・・

千円札

芹沢
財津さん、これはなんですか?

財津
えっと、1000円札ですよね

芹沢
そうですね。ほぼ全ての日本人が1000円札、もしくはお金だと答えるでしょう。
ではあなたは、何故この紙切れをお金と思うことが出来るのでしょうか?
そもそもお金はいつ、どのようにして生まれたのか知ってますか?

財津
全然わからないです・・・

芹沢
ですよね。それでは今回は私が歴史を振り返りながら紹介していきます。




物々交換と市の時代~お金の存在しない時代は非効率だった

お金のない時代、人々は物々交換をしていました。例えば自分の持っている魚と他人の肉を交換するなどです。 しかし、自分の目当ての物を見つけるのはかなり大変であり、目当ての物を見つけて交換するには長い期間を要する場合もありました。

この間、保存がきかないものは腐ってしまうので、魚や肉を持って何日も探すことはできません。このように物々交換というのは、すごく非効率なものだったのです。

そんな中、誕生したのが市(市場)でした。市は10日ごとに開かれ、四日市や五日市、廿日市というように、各地で名付けられたことから、いつ開かれていたかが地名として現代にも残っているのです。 市はわかりやすく言えば、現代のヤフオクのようなもので、欲しい物がある人を効率的に集めることを可能にしました。

しかし、いつの日にか10日に一回しかない市の開催日まで肉や魚を保管するのは大変だ、もっと良い方法はないだろうか?と議論されるようになりました。そんな中、交換の仲立ち物を用意しようという案が出たのです。交換の仲立ち物というのは現在でいうお金。間に物が入ることによって交換を効率的にします。仲立ち物に交換しておけば、腐ることがない(価値が下がらない)ので好きなときに肉や魚を手に入れることが出来るのがメリットです。

交換の仲立ち物から硬貨の誕生へ

交換の仲立ち物として、石や貝など世界各地で異なるものが使用されるようになりました。
また、日本では米(稲)を使用しました。実は米って今でこそたくさんあり、米の生産が調整されたりもしますが、昔は超がつくほどの貴重品だったのです。

稲

ここで豆知識ですが、古代ローマでは兵士への給料は塩でした。当時、塩は貴重品だったので、とりあえず塩を持っていれば、他の物といつでも交換できました。ラテン語では、塩のことをサラリウムと言い、ここから「サラリー」という言葉が生まれたのだそうです。
同じような、語源が日本や中国にも存在します。

日本では当時、稲を「ネ」と発音していました。「これはどれだけのネと交換できるの?」「これはどれだけのネになるの?」という会話が一般的になされるようになり、そこから財物の価値のことを「ネ」と呼ぶようになりました。

これが値段の「値」の語源です。  ちなみに中国では貝を使用していました。ちょっと注意してお金に関係した漢字を見てみてください。すべて「貝」が入っていますね。

貴重品の「貴」の下の部分。貧しいの「貧」の下の部分。貨幣の「貨」の下の部分。購買の「購」の左側。賄賂という字にも妙に多くの貝の字が入っていますね

参考:池上彰のお金の学校
http://eliesbook.co.jp/review/2011/10/%E3%80%8E%E6%B1%A0%E4%B8%8A%E5%BD%B0%E3%81%AE%E3%81%8A%E9%87%91%E3%81%AE%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%80%8F-%E6%B1%A0%E4%B8%8A%E5%BD%B0%E3%83%BB%E8%91%97-vol2657/

やがて、稲は持ち歩くにもかさばるし、品質もまちまち、交換レートを定めるのも難しいということから、他のものが考えられるようになりました。他の地域の情報も参考にされ、 選ばれたのが金、銀、銅を使用した硬貨でした。

硬貨
世界中で硬貨がいつ誕生したかについて、確かなことは分かっていないですが、紀元前10世紀頃のギリシアではすでに作られていたようです。
え?大昔にそんな技術があったの?と思われるかもしれませんが、当時の技術でも十分に作ることができました。溶かして鋳型に流し込むことで、簡単に持ち運びのしやすい金貨・銀貨・銅貨を作ることができたのです。

さらに時代が進むと「お金」を介して大規模な商取引も行われるようになります。
すると硬貨をいっぱい持って歩くのは重たい、あるいは強盗に遭うかもしれないことから、何か良い方法はないだろうか?と考えるようになってきます。

そこで、金貨や銀貨をいっぱい持っているお金持ちに、自分の持っている硬貨を預けることにしました。

思わぬことが紙幣誕生のきっかけに!

お金持ちは、「確かに預かりました」と、預かり証を発行してくれ、代わりに手数料をもらいました。
「預かり証を持ってくれば、いつでも金貨と交換してあげます」という約束です。

「預けることに不安はないのか?」と思われるかもしれませんが、 お金持ちはたくさん金貨を持っているから盗る事はないだろうと考えました。
この預かり証さえ持っておけば、いつでも金貨と交換してくれるだろうと信頼されていたのです。

瞬く間にこの預かり証は広がり世間に認知されました。そして今度は、わざわざ金貨に交換する必要もないと考えるようになりました。
つまり「いつでも絶対、金貨に換えてもらえる」という信用を背景にして、「預かり証」のまま物と交換できるようになるわけです。

このような流れから、預かり証がそのままお金として使われるようになったのです。目立たないから強盗に遭う確率も少なくなる。なにより紙なら折りたためるし軽いという利点も大きな理由です。そして、これが紙幣の始まりなのです。

ここまでが物々交換からお金ができるまでの話。

お金は個であった私達を集合体にした。同時に争いも生んだ。

お金は文明の発展において大きな役割を果たしました。まず人類を食料の調達のみの日々から解放しました。これが人類に考える時間を与え、やがては高度な文明を生み出したのです。

またお金が生まれたから職業が生まれ、私達を結びつけました。
個であった私達が、集合体になれたのもお金のおかげと言ってもいいかもしれません。
反面、単なる交換の手段である物に執着し争いも生み出した。必要以上のお金に支配される人間が増えたのは残念なことです。

お金に支配された人

芹沢
財津さん、お金が何をもたらしたのかわかったかな?

財津
もしお金が生まれてなかったら、食料の調達に縛られ続けないといけない生活だったわけで、そうなると私達は学校になんて行けてないですし、高度な文明は生まれてないかもしれません。

芹沢
その通りね。

財津
私達、人間が他の動物たちと違うのは、お金のおかげです。

芹沢
ええ、その通りね。

財津
もし、動物の世界にお金があったら、今まで草ばかり食べさせられてた草食動物もお肉を買い始めるかもしれませんね!

肉を買うカンガルー
芹沢
いやいや、草食動物は我慢して草を食べてるわけじゃないから!!

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