まだ餌食になる?ブラック企業の定義と特徴、見分け方&失敗しない転職活動のコツ

「今勤めている会社がブラック企業かも知れない」

「今の状況はまともではない気がする」

少しでも思い当たる方はぜひ一読ください。
本記事ではブラック企業の定義をはじめ、転職の際の心得など、あなたが必要な知識をまとめてご紹介します。

もう、会社の餌食になるのはやめませんか?
あなたの人生が180度変わる転機になるかも知れません。




世の中のブラック企業に対する意識調査

日本労働組合連合のアンケート調査結果をもとに、世の社会人がどのような雇用状態の元で働いているのか、平均値を探ってみました。

1か月の残業について

  • 5時間未満:19.9%
  • 5時間~9時間:10.6%
  • 10時間~19時間:13.2%
  • 20時間~29時間:9.2%

平均の残業時間(0時間含む)は18.8時間で、雇用形態別に平均時間(0時間含む)みると、正規労働者では23.2時間、非正規労働者では12.6時間となっています。

発生した残業時間に対する支払に関しては、

  • 全額支払われている:59.4%
  • 一部(50%以上)支払われている:8.5%
  • 一部(50%未満)支払われている:7.1%
  • 全く支払われていない:18.3%
  • わからない:6.7%

約6割が「全額支払われている」としたものの、不払いがある人の割合は33.9%であることが判りました。
つまり、世の中の社会人の半分以上で残業代が払われていることになります。

まったく(一部しか)払われていない!というのは労働基準法上、時間外労働や休日労働は原則的に認められていないことで、一般的な労働状態から考えると「おかしい」と言えるでしょう。

有給休暇について

3,000名に、1年間に付与された有給休暇日数(繰越日数を含む)を聞いたところ、有給休暇日数は平均で13.5日、正規労働者は平均18.2日、非正規労働者は平均7.0日だったそうです。
有給休暇を与えられても形だけで使用できなければ意味がありませんよね。

有給休暇の消化割合は次のようになっています。

  • 0日(消化していない):16.8%
  • 5日未満:22.8%
  • 5日~9日:23.5%
  • 10日~14日:20.7%

有給休暇の消化日数(0日含む)は、平均で7.4日です。
有給休暇が平均日数にも及ばない。という方は要注意ですよ。

ブラック企業だと感じる理由について

ブラック企業に努めていると感じている人の割合は4人に1人、20代では3人に1人にもなるとのこと。
具体的に次のような状況が「この会社おかしいかも」と感じるキッカケになるようです。

1位「長時間労働が当たり前」
2位「仕事に見合わない低賃金」
3位「有給休暇が取得できない」
4位「うつ病やノイローゼになった人がいる」
5位「名ばかりの管理職制度がある」
6位「出勤時間よりかなり前に出社しなければいけない」

あなたが、勤め先に対して抱いている不信感は思い込みなのか、それとも妥当なものなのか、ぜひ今一度考えてみてください。

※参考:日本労働組合連合会

ブラック企業の定義について

もともとブラック企業というと暴力団、ヤクザとのつながりのある企業を意味するものでした。
現在では、ヤクザや暴力団に関わる会社もそうですが、それ以外にも劣悪な労働環境にある会社もブラック企業と呼ばれています。

「今の若いやつはダメだ、昔はもっと厳しかったのにな」なんて言う人もいます。
ひと昔前までは終身雇用、年功賃金を引き換えに労働者が進んで会社のために働くことは普通で、仕事の内容や命令のあり方にほとんど制約がかけられていませんでした。
労働者は会社にとって欠かせない大切なメンバーではありましたが、昔から働く側に負担がかかる構造だったことは否めません。

今言われる「ブラック企業」は昔からある日本ならではの働き方とも違います。
それまで保証されていた長期雇用や手厚い企業福祉が削減され、上からの命令は強く、入社したものは会社のメンバーの1員としては迎えられません。
選別や使い捨てのためだけに利用されるのです。

ブラック企業の12の特徴


ブラック企業にありがちな12の特徴をご紹介します。
3つ以上当てはまれば、あなたの勤めている会社はほぼブラック企業と考えて間違いないでしょう。

1.個人の意に反する長時間労働

毎日終電まで残業して、翌日は早朝から出社なんて状態はブラック企業の典型です。

2.大量の採用・3年以内の離職率が高い

定期的に採用または大量に募集しているのに、従業員数が変わらないのは入社とともに退社をする社員が一定数いることの証拠です。

3.残業代がでない

深夜まで働いても残業代が上乗せされることはなく、サービス残業として見なされます。

4.休暇のルールを無視している

有給休暇をなかなか取れない状況に追い込むことや、中には休暇を許すものの有給は使わせず欠勤扱いにする、連続で10日以上働く、仕事が終わらず休憩時間を犠牲にするという方もいます。

5.精神論を掲げる

「やればできる」「感謝」「仲間」など、精神論で人を動かし、会社に縛り付けようという意図が感じられることが多いです。

6.過剰なノルマを課せられる

ノルマを達成しなければボーナス支給はなし。など、通常の企業ではありえないほどのタスク(会社での活動とは別に、個人的な営業で100万円を半年で売り上げるなど)を丸投げされる場合もあります。

7.薄給・給料が安い

特に非正規雇用者に対して薄給での仕事を強い、「無理ならいつでもやめていい」と言ったような態度に出る会社もあります。

8.パワハラ・セクハラの常態化

上司の権力をかさに理不尽な要求、異性から性的嫌がらせなど、圧力やいやがらせが横行している傾向にあります。

9.うつ病やノイローゼなどの不調で会社に来なくなった社員がいる

社員が充実した環境で働いているのであれば、うつ病やノイローゼになることは少ないでしょう。
精神的な病になった社員が多いということは、労働状態に問題がある可能性大です。

10.ネットの口コミを見るとブラックな噂が多い

ネットの書き込みは求人票よりも案外当てになるものです。

11.会社を辞めたくても辞めにくい環境

次々と人が辞めていくため、会社側から辞めないようにと圧力をかけられることもあります。

12.休み時間・休日まで上司に付き合わされる

好きな上司とであれば良いですが、完全に自分の都合を中心に下の社員を呼びつけるような上司が多い職場は要注意です。

ブラック企業からの転職の流れ・コツ

ブラック企業からの転職を考えていても、企業によっては転職の隙すら与えないところもあります。
ブラック企業からの転職をスムーズに進めるためのコツを知り、転職活動を有意義なものにしてください。

1.企業に勤めながら転職活動

ブラック企業でも、有給休暇の消化であれば多少は許してくれるところもあります(有給休暇の利用は当然の権利です)。
面接は平日に行われますが、時間調整ができる環境であれば在職中の転職活動が金銭面で考えてもおすすめです。

ただ、勤め先によっては休暇の消費がほとんどできないことや、何としても引き留めようと上から圧力を掛けられることもあるかも知れません。

2.ブラック企業からいったん離れて転職活動


在職中の転職活動がむずかしければ、会社を辞めることを優先しましょう。
すぐに転職しないのであれば、失業保険受給の手続きを進めておきましょう。

万が一退職を拒否された、またはしつこく引き止められるようであれば会社に内容証明で退職届を提出します。
会社側は退職の意思を受け入れざるを得ません。

共通する転職の流れ

退職の意思を伝えるのは引き継ぎを考えて1か月前(少なくとも2週間前)までにしましょう。
さらに残業代が支払われていないのであれば、会社を退職する前に「残業代の請求」の準備をはじめることも大切です。

残業代請求の方法としてはご自身で請求する方法と、弁護士を通して請求する方法の2通りがあります。
多数の書類仕事が必要になるため、確実にことを進めたいのであれば弁護士を通した残業代請求が良いでしょう。

転職の流れを簡潔にまとめました。

1.諸手続きを進める

退職の意思を伝え、残業代の請求を検討する
すぐに転職しないのであれば失業保険の受給手続きを進める

2.求職サイト・ハローワーク・リクナビに登録する

自分で1から探すよりも、こうした求人サイトから情報を収集したほうが効率がよいです。

3.応募会社を選定・応募・履歴書作製・面接

気になった会社にはとりあえず応募してみましょう。
少し怪しいと思っていたけれども面接を受けて社内の様子を見ると、ホワイトだったということもあります。

転職前にブラック企業に陥りやすい業種をチェック!

仕事の内容からブラック企業に陥りやすい業種(IT業界、飲食業界、介護業界、看護業界、ホテル業界、保険業界、アパレル、旅行業界、不動産業界)もあります。
※これらの業種の中にも優良な企業はありますが、傾向として頭の片隅に留めておくと良いかも知れません

次の表は残業時間を業種別に表したものです。
残業時間が多い=ブラックとは限りませんが、ブラック企業になりやすいと言われている業種のほとんどで残業が多いことが判ります。


※参考:vorkers

転職活動の中でブラック企業を見抜く術、見分け方

ホワイト企業への転職を目標にしていたのに、実際はブラック企業だった!なんて事態はどうしても避けたいものです。
転職活動の中でブラック企業を見抜く術を見ていきましょう。

求人票でブラック企業を見極める

1:抽象的な言葉が並ぶ

求人票に具体的な仕事内容、仕事を行う上での必要なスキル、給与体系、福利厚生などがきちんと記載されていて、自分の働く姿を明瞭に思い浮かべられるかどうかがポイントです。
例えば「商品の輸入から販売まで様々なキャリアを積める、やりがいのある仕事内容です」といった内容ではどこまでが仕事なのか不明で、具体的な働く姿は思い浮かべられませんよね。

求める人材欄に「責任感の強いかた、目標達成に向かってモチベーションを維持できる方」など抽象的な人物像が記載されていたら要注意です。
会社が本当に必要とする人材を集めたいのであれば「○○を使って○○の設計実績がある人、○○ソフトウェアを使った○○経験3年以上」などより仕事内容に直結する具体的な内容が記載されているはずです。

求人票全体の印象として、具体性のない抽象的な理念、壮大な夢、魅力的なフレーズ(アットホーム、ノルマ無、昇給アリ、熱意、やりがい)が多く感じられる場合も注意が必要です。

2:誇張表現が多い

特に事業内容に関する記載で、事実に基づいたデータや記述となっているのか確認してみましょう。

「○○をつくっています」「○○分野のサービスを行っています」といった事実が記載されていることがほとんどですが、中には「画期的な技術で時代をリードする」「将来性に満ち溢れた」など急成長を謳った会社も。
データや実績を曖昧にし「成長」といった点に目を向けさせている可能性があります。

3:社会的な信用のウラが取れない

主要子会社の数からは企業規模を、主要株主の構成からはこの会社の堅実性や信頼性を読み取れます。
主要株主欄に信託銀行などの名前が記載されていて、(信託口)とあれば企業年金や投資信託などの投資先として選ばれていることを意味します。
社会的な信用度はあると考えていいでしょう。
求人票に公開されている企業規模や社会的信用、最新動向などが、IR情報と一致するか今一度確認してみましょう。

4:給料が不自然に高い

お給料の相場は大体決まってきます。
不自然に高すぎるのであれば、残業代や歩合が上乗せされた金額が大きく表示されている可能性があるので注意しましょう。
但し書きが小さくて気が付かなかったなんてことも転職者たちの間では多いです。

面接でブラック企業を見抜く

1:履歴書を適当に見ている

とにかく数を揃えれば良いというスタンスなので、履歴書を良く見ずに履歴書とはあまり関係のないような事を質問される、雑談が多いといった傾向があります。

2:労働条件に関する質問で嫌な顔をされる

面接時の質問で休日や休暇、残業時間等、労働条件に関することで都合の悪い部分の返事を曖昧にするケースがあります。
丁寧に応えてくれるのか確認したいところです。

3:採用プロセスが短い

短時間・短期間の面接で内定が出るのであれば要注意です。
すぐにでも人が欲しい状態で、言い換えればそれ程に人員不足=辞める人が多いということかも知れません。

4:面接官の様子がおかしい

働く人の様子がどうか、面接官が疲れていないかなどチェックしましょう。

その他の見極め方

もし可能であれば、定時の時間に会社を見に行くことをオススメします。
本当に定時に帰る人が多いのか、疲れた顔をしているか、身だしなみはキチンとしているかなど働く人の様子が良く分かりますよ。

参考にしたいブラック企業一覧・リスト・ランキング


ブラック企業大賞という、ブラック企業を選定してランク付けする動きがSNSでも話題となりました。
ここでは2016年から2018年にブラック企業大賞にノミネートされた会社リストをご紹介します。

2018年

  • 株式会社ジャパンビジネスラボ
  • 財務省
  • 三菱電機株式会社
  • 株式会社日立製作所・株式会社日立プラントサービス
  • 株式会社ジャパンビバレッジ東京
  • 野村不動産株式会社
  • スルガ銀行株式会社
  • ゴンチャロフ製菓株式会社
  • 株式会社モンテローザ
  • 2017年

    • ゼリア新薬工業株式会社
    • 株式会社いなげや
    • パナソニック株式会社
    • 新潟市民病院
    • 日本放送協会(NHK)
    • 株式会社引越社・株式会社引越社関東・株式会社引越社関西(アリさんマークの引越社)
    • 大成建設株式会社・三信建設工業株式会
    • 大和ハウス工業株式会社
    • ヤマト運輸株式会社

    2016年

    • 株式会社エイジス(棚卸し代行業者)
    • 株式会社電通(広告代理店)
    • 株式会社ドン・キホーテ(ディスカウントストア)
    • 株式会社プリントパック(印刷サービス)
    • 関西電力株式会社(電力)
    • 佐川急便株式会社(運送)
    • サトレストランシステムズ株式会社(「和食さと」など飲食店)
    • 宗教法人・仁和寺(京都市の真言宗御室派の総本山寺院)
    • ディスグランデ介護株式会社(デイサービス「茶話本舗」FC企業)
    • 日本郵便株式会社(郵便事業)
    • DWE JAPAN株式会社(しゃぶしゃぶ温野菜)

    名の知れた企業もノミネートされていますが、実際には中小などを入れると一覧ではとても記載しきれません。

    こうしたリストを参考にすることも大切ですが、就職四季報などから、離職率や社内での賃金カーブと賃金格差(ブラック企業では初任給が高く30歳~は給与が下がるまたは変わらない、一部の人のみの賃金が高いなど給与落差が激しい傾向にあります)といったデータを収集し、客観的に見極める努力も必要です。

    さらに、社員が書き込んでいる口コミサイト「転職会議」「キャリネコ」の情報を参考にするのもブラック企業を見極める良い手となるでしょう。

    まとめ

    もし、ブラック企業診断でブラックだと判明したのであれば、「そのまま10年働く自分の姿が輝いているのか」今一度考えてみてください。

    「今私が辞めると、迷惑なのではないか」など考える必要はありません。
    企業は企業の存続には責任を持ちますが、あなたの人生には少しも責任をもってくれません。
    組織とは欠員が出ても回るように出来ているものですし、ブラック企業は突然の退職になれているので数日で新人を調達できます。

    厳しい言い方にはなりますが、企業にとって、あなたの代わりはいくらでもいるのです。
    そんな会社で5年、10年と時間を無駄にして、心と体を疲弊させる価値はあるのでしょうか?

    今踏み出す一歩があなたの幸せに繋がることを祈っています!

     

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