派遣から正社員になる方法は?なれないなら、どこで見切りをつけるか?

考える女性

こんにちは、石原です。
正社員をはじめ、契約社員、パートやアルバイトとして働いている人は、その会社と自分との間で直接雇用契約を結び仕事をしていますが、このようなダイレクトな雇用関係ではなく、「派遣会社」を間に挟んだ形で雇用されている人のことを「派遣社員」といいます。

企業側は労働者(派遣社員)とではなく派遣会社と雇用契約を結んでおり、派遣会社は雇用契約を結んでいる企業に自分のところで雇用契約を結んでいる「派遣社員」と呼ばれる人たちをその会社に派遣し働かせます。

パート、アルバイトや正社員などの直接雇用契約を結んでいる人たちは、その会社から直接雇われているため、給料もその会社から出ますし福利厚生もその会社のものがそのまま適応されますが、「派遣社員」として働いている人は自分が実際に働いているその会社からではなく、派遣会社のほうから給料が支払われ、また福利厚生も派遣会社のものが適応されます。

つまり、同じ会社の中でも直接会社から雇用されている社員やパートさんたちと派遣会社を通して雇用されている派遣社員とでは労働条件なども変わってきます。
会社によっては正社員 VS 派遣社員と、派閥ができているようなところもあるのではないでしょうか。

正社員と派遣社員、どっちがえらいのか?

おそらく、会社に直接雇われている正社員の人たちは、よそから派遣されてきている派遣社員の人のことを内心ちょっと見下しているような人が多いのではないかと思います。

私が通っていた英会話スクールで以前こんなことがありました。

某電機メーカーのA社に正社員として勤めている女性の生徒さんがいましたが、同じクラスには彼女のほかにも2、3人の生徒がおり、そのうちの一人の女性もまた、同じ某電機メーカーに「派遣社員」として勤務をしていました。

A社に派遣社員として勤めている女性の生徒さんは、正社員の生徒さんよりも少し若かったそうです。
レッスン中、外国人講師に自己紹介をする場面があり、正社員として働いている女性の生徒さんは「私はA社で働いています」と英語で自己紹介し、派遣社員として同じA社で働いている女性の生徒さんもまた「私もA社で働いています」と英語で自己紹介をしたそうです。

ところがレッスンが終わった後に、A社で正社員で働いている女性が、「あの人は派遣社員だからA社の社員じゃないのよ!」と、同じ部屋で一緒にレッスンをしていた他の生徒さんにわざわざ日本語でご丁寧に教えてあげたそうです。

おそらく派遣社員として同じA社で働いていた女性は、何の気なしに「私もA社で働いています」と言っただけか、語彙力不足のため「派遣社員」という英単語を知らなかったから「私もA社で働いている」と言っただけなのでしょうが、自分と同じ土俵に勝手に派遣社員の女性に立たれたのが気に障ったのか、A社に努めていることはその人が他の人に誇れる部分だったのかもしれません。

これは暗に「正社員である私の方がえらい。派遣社員は部外者!」と見下している心の表れでしょう。

財津
これはひどいですねー!

芹沢
まるでスクールカーストね。

財津
これじゃあ、社会人も学生と変わらないですよね・・・

芹沢
そうね。
日本の会社って、派遣社員を下に置くことで、正社員の自尊心を満足させようとしてるところもあるよね。

このように、正社員としてその会社から直接雇われている人は、派遣会社というワンクッションを置いてその会社の面接や書類選考も突破しないで入ってくるような派遣社員を見下すような人もたくさんいます。
実際同じ職場にいても派遣社員では肩身は狭いかもしれません。

同じ人間ですのでどちらが上!などありませんが(役職がついている人はまた別ですが)、やはり正社員の人から見たら派遣会社からラクして自分の会社に働きに入っている人間ということで、派遣社員に対しての風当たりは厳しいのかもしれませんね。

「正社員になりたい・・・!」 「夢は正社員・・・!」 こういったフレーズを目にすることも多いですよね? 背景には給与面などで、正社員の方が優遇・好条件といった印象が強いこ

本当に派遣から正社員になれるのか?

私は派遣社員として働いた経験はありませんが、友人の中には何人か派遣社員として働いたことのある人たちがいます。
そのうちの一人の話です。

高校の同級生で、地元の短大を卒業したあと地元の保険会社に保険の外交員として6年程勤めていましたが、完全歩合制で、その上自分の車を使って保険の営業に出向かねばならず、ガソリン代なども支払われず、お客さんに配るお菓子も自腹、そしてなぜかお昼休みに社員たちみんなで交代でその日のお菓子を用意しなければならないという変なルールがあり、毎月のお給料は車のガソリン代と携帯代を支払ったら手元に5万円も残らない、というような劣悪な環境で働いていました。

彼女の性格的に保険をゴリ押しして売るようなこともできず、正社員で働いていましたが金銭的に苦しく、その保険会社を退職したあと彼女は派遣会社に登録しました。
そしてその派遣会社から彼女が派遣された先は、隣町の工場でのライン作業でした。

出来上がった部品などの完成検査をするのが彼女の仕事で、単純作業ではありましたが最初のうちは目も疲れるしスピードも遅く自分に務まるか不安や愚痴を漏らしていましたが、派遣に登録しようかという時に「正社員を目指したい」と言っていたのでもちろん派遣社員からの正社員を目指すのだろうな、と私も思っていましたが、1年経っても2年経っても彼女はずっと派遣社員のままでした。

それもそのはず、派遣社員を正社員として採用できるかどうかというのは、その会社が派遣社員を正社員として採用できる仕組みがその会社になければ、実はかなり難しいのです。

いくらその派遣社員の能力が高かろうが、人事や会社の役員の権力を握っているような人と親しかろうが、関係ありません。
派遣社員を正社員として登録できるシステムを会社が設けていないと、実際問題派遣社員から正社員を目指すのは難しいのです。

今の派遣先でいずれは正社員になりたいというのであれば、過去に派遣社員から正社員になった前例があるのかどうかを確認しておきましょう。

前例があれば、そのまま派遣社員から正社員になれる可能性もあるということです。

もし前例がないといった場合は、一度人事に派遣社員からの正社員への可能性はあるのかどうか、はっきり確認することです。

可能性が無いようであれば契約満了で見切りをつけ、次からは正社員登録制度ありの派遣先で働くか、最初から派遣会社からの派遣社員としてではなく自力で正社員として働ける職場を探した方が時間を無駄にせずに済みます。

財津
正社員になるのは難しいんですね〜

芹沢
そうね。
会社からすると、正社員にすることで生じるデメリットもあるからね。
交通費の支給や社会保険の加入など

財津
ええ!
それじゃあ、正社員になるのは無理じゃないですか?

芹沢
そんなことないわよ。
「他所の会社に行って欲しくない」、「ずっと一緒に働いてもらいたい」と会社が考えた場合は、正社員の可能性はあるわね。
だから、個人の能力はもちろん、将来への人材投資を考えてる会社じゃないと難しいと思う。

財津
では会社にちゃんと意思を確認しておく必要がありますね。

芹沢
そうね。
付き合ってる男性に私との結婚をちゃんと考えてる?
って確認するようなもんよね。

派遣から正社員を目指す方法

さきほど述べたように、派遣先の会社が過去派遣社員を正社員として採用したことがあるかどうか、そしてその派遣先の会社が派遣社員を正社員として採用するシステムを会社の中に設けているかどうかというところが、派遣から正社員になれるか否かの分かれ道になります。

しかし、派遣社員として働く中で正社員登録を目指すのであれば、「紹介予定派遣」で働くのが一番の近道なのではないでしょうか。

「紹介予定派遣」とは、派遣先の会社で派遣社員として働きながら同時にそこで正社員を目指せるという制度で、派遣期間(最長6カ月)満了後は派遣先の会社と派遣社員の両方が合意すればそのまま正社員(会社によっては契約社員)になれるというものです。

「紹介予定派遣」の最長6カ月の派遣期間は、通常の採用の場合の「使用期間」と同じものと考えてよいでしょう。
もちろんこの派遣期間内に自分には合わないかも…と感じた場合は正社員、契約社員への登録を断ってもいいですが、しっかりした正当な理由がなければ派遣会社からの信頼も失いかねないため後々の派遣登録に響いてくる可能性もあります。

派遣から正社員を目指すには、この「紹介予定派遣」が一番確実な近道でしょう。

見切りをつけてゼロから正社員の求人を探す

派遣社員から安定した正社員を目指すためには、まず派遣先の会社が派遣社員を正社員登用するようなシステムを導入しているかどうかが大きな分かれ道になるということ、そして確実に派遣から正社員を目指したいのであれば「紹介予定派遣」で働くのが一番近道だということをさきほどお話ししました。

しかし、そもそもその会社が派遣社員を正社員としては採用しません、と言ってしまえばそれまでで、派遣社員を正社員登録したという前例も何もない会社でいつまでも「正社員になれるかなぁ…」と待ちながら派遣社員として働いていても時間をいたずらに過ごしてしまうだけかもしれませんし、それよりもいくらかは正社員の道が近づくであろう「紹介予定派遣」についても、確実に必ず正社員になれるとは限りません。

もっと確実に正社員になりたいのであれば、やはり「派遣型」で働くことは辞め、新聞の折り込み広告や街の求人誌、インターネットなどを使って、ゼロから自力で正社員としての就職先を探すことです。

確かに、「派遣社員をしていた方が同じ会社で正社員として働くよりも給料が良い」なんてこともありますが、それは30代前半まででしょう。
派遣だと40代・50代になっても20代の入ったばかりの子たちと同じ時給で働くことになります。

さらに、派遣というだけで肩身は幾分か狭く、契約が満了してしまえばまた次の新しい職場に移らねばなりません。
また一から仕事を覚え、新しい職場で新しい同僚たちとやっていくのは、なかなかしんどい物です。
最初はなんとか頑張れても、それがずっと続くとなると精神的にも肉体的にも疲れてきてしまいますよね。

しかも、年齢が上がれば上がるほど次の派遣先も決まりにくくなるでしょう。

その点、正社員であれば基本的には定年退職まで同じ会社で働くことができます。
同じ場所で同じ人たちとずっと働けるのは、一見退屈そうに思えても実は難しく、でもまたありがたいことなのです。

正社員であれば福利厚生もしっかりしているし、会社にもよりますが賞与や昇給だって自分の頑張り次第です。
「安定」という意味では、やはり派遣社員よりは、正社員の方が有利です。

本当に今すぐにでも正社員になりたいのであれば、派遣会社を通して紹介予定派遣で働くなどという遠回りをしないで、自力で正社員を募集している企業を見つけて就職試験を受けましょう。
はじめから正社員になれるところを見つけて就職するのが、結局は一番早いのです。

まとめ

派遣社員には将来がありません。

正社員でないというだけで同じ会社で正社員で働く人たちからは見下されることもあります。
おそらく好き好んでずっと派遣社員として働き続ける人もあまりいないでしょうが、できれば派遣社員から正社員になれるのであれば正社員になりたいですよね。

将来のことを見越すと、正社員になれば生涯賃金もかなり変わってきますし自由な時間は確実に減りますが何よりも安定が手に入ります。

今派遣で働いているあなた、これから派遣で働こうとしているあなた、ぜひ正社員を目指してください。

就職先がなかなか見つからず派遣に登録しようと思っているあなたは、派遣に登録する前に自力で正社員登録制度のある就職先を見つけるのもひとつの手ですよ。

✓この記事のポイント
  • 紹介予定派遣で働くのがおすすめ
  • 派遣社員から正社員になった前例があるのか確認する
  • 見切りを付けてゼロから正社員の求人を探す


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