仕事を辞める理由と伝え方
幼少期や学生時代には、お医者さんになりたい、保育園の先生になりたい、芸能人になりたいなど、誰でも将来の夢を一度は思い描くはずです。
かく言う私も、幼少期はお医者さんになりたいだとか、弁護士になりたいだとか、歌手になりたいなんて、思うまま気ままに様々に大人になった自分を良く想像したものです。
ところが夢というものは儚いもので、大きくなるにつれてひとつずつ夢に破れていく、そういった人がほとんどだと思います。
高校や大学を卒業したあと、果たして自分がなりたかった、憧れていた職業につけた人はどのぐらいいるのでしょうか。
ごくごく一部、ほんのわずかな、ひとにぎりの人ではないかと思います。
そして、運よく自分の好きな事を職業にできた人でも、好きな事を仕事にした途端に残念な事に急にその仕事が嫌いになることもありますし、逆に嫌いなことだから仕事としてなりたっている、という人もいるのではないでしょうか。
私の上司にも長男だからなんとなく(仕方なく?)その仕事を継いだという人がいました。
その上司は地元以外の場所で最初は自動車整備士として何年も修行をし自動車検査員の資格を取り、実家の整備工場を継ぐために地元に戻ってきましたが、実は自動車についてはまったくといって良いほど興味がないのだそうです。
その上司に一度なぜ整備士になろうとしたのか、というような質問をしたことがありますが、その時上司は「単に家業だったからかなぁ。そして車にまったく興味がないからこの仕事をずっと続けられているんだと思う。」との回答でした。
逆に私は自動車が好きで自動車整備士になりましたが、実際好きでなった整備士なのに資格を取り働き始めた途端人の命を預かるという整備士の仕事の重さに気づき、本音を言うと少し怖気づいてしまった部分があります。
それでも整備士の仕事が好きだったのですが、天職か?と聞かれるとそうではないような気もしています。
私は妊娠・出産のため退職し現在は専業主婦になりましたが、あのまま整備士をしていればおそらく好きな事を仕事にした途端その仕事が嫌いになるパターンだったかもしれません。
私のように、好きな職業に就けてもだんだん嫌になってくるような人、大勢いると思います。
思い描いていた夢の職業とは違うけど、だからこそ意外にもその仕事を長年続けられている、という人もいると思います。
ただ、仕事のストレスであったりプライベートで問題を抱えたり、入社してみてはじめてブラック企業だと気づいただとか、がんばりすぎて心が疲れてしまったなどなどの理由から、「仕事を辞めたいな」「やめようかな」などと頭をよぎったことがある人も多いのではないでしょうか。
そして、今辞めても良いのだろうか、仕事から逃げたことにならないだろうかなど葛藤を繰り返し、「辞める!」と決めたものの、何と言って辞めればいいのか…と辞めるまでの道のりもなかなか大変です。
そこで、仕事を辞める時の理由やその伝え方などについて、考えてみようかと思います。
この記事に書いてあること
仕事を辞める理由で多いもの
私が過去今まで仕事を辞めたいと思った時の理由には、
- 仕事がマンネリ化してつまらない
- 職場の人間関係
- 会社の雰囲気が悪すぎて毎朝出勤途中に吐き気をもよおすようになった
- 自分の仕事を評価してもらえていない
- 給料が安い
などがありました。
これらはあくまでも私個人の退職理由ですが、世間一般的にも同じような理由で仕事を辞めたいと思う人が多いようです。
よくあるのが、
- 福利厚生や賞与、給与の問題
- オーバーワーク(残業時間の問題や休日出勤など)
- 職場の人間関係や職場の雰囲気が良くない
- 仕事の成果を正当に評価してもらえない
- 勤務地の問題(希望の場所ではない、遠方などなど)
- 仕事がつまらない、やりがいがない
などのようです。
みんな思うようなところはだいたい同じのようですね。
昨今では労働基準も昔よりだいぶ厳しくなってはきているようですが、でも実際はまだまだ社員にオーバーワークを課すような企業も存在しますし、職場の雰囲気や人間関係がドロドロしているところもたくさんあります。
そんな泥沼に一歩でも足を踏み入れてしまえば、もうおしまい、といっても過言ではありません。
本音と建て前どっち?退職理由の伝え方
よく「円満退社」というような言葉を聞きますが、私の個人的な経験から言うと、いくら穏便に問題なく退職できたとしても円満退社なんてありえない!と思っています。
辞め方にもよりますが、きちんと手順を踏み社会人としてのルールを守った上での退職であったとしても、自分の次に人員が補充されその人が一人で仕事をこなせるようになるまでには時間がかかるし、自分が辞めたことで少なくとも会社に負担をかけることになるからです。
私が最後の職場を退職した時の理由は、ギリギリまで働こうと思っていましたが結局出産まで体力がもたなかったからなのですが、もちろん先輩たちはみんな「頑張って元気な赤ちゃん産めよ!」「また育児が落ち着いたら戻ってこいよ!」なんて声をかけてくれました。
私の中では今までにないほどの「円満退社」でしたが、それでも妊娠中体調がすぐれず周りに迷惑ばかりかけて退職となってしまいました。
幸い私以外の従業員はほぼ全員男性で、しかもほぼ全員それぞれが奥様も子供さんもいらっしゃる人だったので、妊婦の私にも理解がありましたが、同じ女性であっても妊娠・出産の経験がある人、経験があってもまったくトラブルなく出産まで順調な経過をたどれた人では妊娠中体調が思わしくない妊婦さんに対しての理解は深くないかもしれません。
ましてや妊娠・出産の経験のない女性であれば「なんでこれぐらいで辞めるの?」「なんでこれぐらいでしんどいわけ?」などと、もっと理解がない可能性だってありえます。
円満退社の代表格である寿退社をする同僚にだって、もしかしたら「なんであの子が結婚できるの?!」などと妬むような女性だっているかもしれません。
どうせ退職するのであれば職場をぐちゃぐちゃに引っ掻き回して辞めて行くのではなく、何事もなく(裏で色々と思うことがある人もいるかもしれませんが)穏便に退職出来る方が精神衛生上にも良いに決まっています。
ということは、「本音と建て前を上手に使い分ける必要がある」ということです。
もちろん上司と本音でぶつかり合うことは大切なことでもありますが、もしあなたが給料面や待遇に関しての不満や職場の人間関係の不満などをありのままに上司に打ち明けたとしても、話し合いや円満退社どころか喧嘩別れのような形になってしまう可能性もあります。
そして給与や待遇面で不服があると上司に相談したところで「じゃあ給与や待遇を見直すから辞めないでくれ」などと引き留められてそのまま退職できないパターンも考えられます。
退職理由には当たり障りのないような退職理由をというよりは、上司があなたを引き留めづらい、辞めないように説得するには相当な理由がないと難しいと考えられるような理由を考えておくと良いのではないでしょうか。
例えば、
- やりたいことが見つかった、新しい分野に挑戦してみたい
- 独立(開業)する
- 海外留学や海外への移住
- 妊娠、出産、結婚
- 家庭の事情(看病、介護や引っ越しなど)や自分自身の体調不良
- 家業を継ぐ
などなどが考えられます。
これらの理由であれば、上司が無理にあなたを引き留めることは難しく、上司や会社もあなたの退職理由に納得せざるを得ません。
志新たにやりたいことに挑戦したいという人に向かってやめておけ、なんていう人はいませんし(そんな権利もないですよね)、家庭の事情や実家の仕事を継ぐことに反対するような権利ももちろん他人にはありません。
ただし本当に海外へ移住したり独立したり家業を継ぐような場合は良いのですが、もしそれらが嘘だとバレた場合は気まずいどころではなくトラブルの種にもなりかねません。
そのため、「新しいことに挑戦してみたい」などの、別分野への転職を理由にした退職が一番無難です。
何かをはじめてみようと希望にあふれているような人に水を差すような言葉は言えませんし、無理に引き留めるようなこともできません。
もし私が上司なら、おそらくその人を笑顔で送り出してあげようとすると思います。
退職するまでの手順
また、退職理由が決まったらそれを会社側に伝える手順もしっかりと踏みましょう。
順番や手順を間違うと円満退職が遠のきます!
まず、退職したい旨を伝えるのは、一緒に仕事をしている一番近い直属の上司です。
その人を飛び越えてもっと上の人にいきなり相談しないようにしましょう。
そしてそれを伝えるタイミングも大切で、繁忙期や何か大きなプロジェクトを抱えている途中などは避け、最低でも退職しようとする日の1カ月前までに伝えておきましょう。
業務の引継ぎにも余裕を持ち、あなたの後を引き継ぐ人がしっかり内容を理解できるように仕事のポイントや工程をまとめてマニュアルのようなものを作っておくと良いかと思います。
そしてもう一点、退職前から次の職場を探し始める人が大多数だと思いますが、転職活動(就職活動)をしていることをうっかり仲の良い同僚などに漏らさないように注意しましょう。
辞める前から転職活動をしていることが会社の耳に入るとかなり印象が悪くなりさらに円満退社から遠のいてしまいます。
実際に退職希望を上司に申し出る時にはとても緊張しますし、いつ伝えようか、タイミングを図るのもやっとだと思います。
どうかこれを読んだ人が皆、円満退社できますように。