SPGアメックスはお得?審査に通る年収は?徹底解剖2019版
ここ数年、マイラーと呼ばれる航空マイル(ANAマイルやJALマイルなど)を貯めている人たちの間で、人気となっているクレジットカードの中の一つに「スターウッド・プリファードゲスト・アメリカン・エキスプレス・カード(以下、SPGアメックスカード)」があります。
このSPGアメックスカードは、もともと米国の高級ホテルグループであるスターウッド・ホテル&リゾート(シェラトンやウェスティンなどの10種類のホテルブランドを展開)とアメリカン・エキスプレスが提携して発行しているクレジットカードでしたが、2016年9月に同じく米国の高級ホテルグループのマリオット・インターナショナル(マリオットの他に1998年に傘下に入ったザ・リッツ・カールトンのホテルブランドも展開)に買収される形で統合となり、現在ではマリオット・インターナショナルとアメリカン・エキスプレスが提携して発行しているクレジットカードという形となっています。
また、ホテルグループの統合後も、ホテルのロイヤリティポイントプログラムはバラバラなままでしたが、ついに、昨年2018年8月に、
- SPG
- マリオットリワード
- ザ・リッツ・カールトン・リワード
の3つのホテルのロイヤリティポイントプログラムが統合し「Marriott Bonvoy(マリオットボンヴォイ)」という、新しいロイヤリティポイントプログラムが誕生しました。
よって、SPGアメックスカードも近い将来、Marriott Bonvoyカードとクレジットカードの名称も変わる可能性が極めて高いといえます。
ちなみに、スターウッド・プリファードゲスト・アメリカン・エキスプレス・カードの「プリファードゲスト」とは、「特別なお客」という意味です。
まず、結論からお伝えしておきますと、今回ご紹介するSPGアメックスカードですが、マイラーや高級ホテル好きな人、1年に1回くらいはお得に高級ホテルに宿泊したいという人には、かなりおすすめです。
SPGアメックスカードは年会費が高額ですが、マイラーや高級ホテル好きな人にはそのデメリットを軽く打ち消せるくらいの大きなメリットがあります。
この記事に書いてあること
年収は?SPGアメックスの審査基準
さて、気になる点がSPGアメックスの入会審査基準や取得難易度です。
SPGアメックスは、高級ホテルグループとアメリカン・エキスプレス・カードが提携して発行しているクレジットカードですので、クレジットカードの入会審査の難易度は高く年収も最低500万円程度は必須なのでは?と思いがちですが、実は、まったくそんなことはありません。
プロパーのアメリカン・エキスプレス・カードは、ステータスカードのイメージに反して、入会審査のハードルは思いのほか低く設定されており、定職に就いており年収も200万円以上あれば入会審査に通過できると言われています。
これは、できるだけ多くの人にクレジットカードを発行し利用してもらいたいというアメリカン・エキスプレスの基本方針とその代わりとして、カードの利用限度額を個々人に合わせてきめ細かく設定するという外資系のクレジットカードならではの考え方によるものです。
今回、ご紹介しているSPGアメックスも同様で、年収200万円程度あれば十分取得できると言われており、実際に年収250万円程度の会社員やOLの方でもSPGアメックスの保有者は多くいらっしゃいます。
ただし、前述のとおり、プロパーのアメリカン・エキスプレス・カードと同様に、入会直後のカードの利用限度額が20万円とかなり低く設定される場合があります。
しかし、取得したSPGアメックスカードをメインカードとして、しっかり毎月利用し延滞なくカード利用料を支払い続けることで、1年もすればカードの利用限度額は100万円程度に上がることが多いようです。
SPGゴールド会員とは?
SPGアメックスカードを取得・保有するだけで、受けることができる特典サービスがいくつかありますが、その中で最も大きなメリットがある特典サービスが、「SPGゴールド会員」へのランクアップです。
前述のとおり、ホテルグループの統合により、ロイヤリティポイントプログラムもMarriott Bonvoyへと新しくなり、現在ではSPGアメックスカードの取得・保有により、「Marriott Bonvoyゴールドエリート会員」にランクアップされます(Marriott Bonvoyの会員ランクは6段階、詳しくは下表を参照)。
会員名 | 年間必要宿泊数 |
---|---|
メンバー(一般会員) | - |
シルバーエリート | 10泊 |
ゴールドエリート | 25泊 |
プラチナエリート | 50泊 |
チタンエリート | 75泊 |
アンバサダーエリート | 100泊+対象料金2万米国ドル |
そもそも、SPGアメックスカードの入会申し込み前に、Marriott Bonvoyへの会員に申し込む必要があります。
Marriott Bonvoyの会員は、入会金も年会費も一切無料で、Marriott Bonvoyの会員になるとまず「メンバー」と呼ばれる一番下の一般会員になります。
その後、SPGアメックスカードの入会審査に通過した瞬間に一気に2ランクアップのゴールドエリート会員になれます。
上表のとおり、通常、ゴールドエリート会員になるためには、マリオットグループの高級ホテルに年間25泊もする必要があり、多額な費用が必要とされます。
それが、SPGアメックスカードの保有という条件だけでゴールドエリート会員のランクをキープし続けることができるのです。
SPGゴールドエリート会員の特典サービス
マリオットグループのホテル宿泊時のゴールドエリート会員の特典サービスは、
- お部屋のアップグレード(満室時はアップグレードなし)
- レイトチェックアウト(状況によっては断られる可能性あり)
- チェックイン時のウェルカムギフト(250ポイントもしくは500ポイントのボーナスポイント)
- 宿泊時の代金の25%のボーナスポイント
- 宿泊時のホテル内のバーやラウンジでの飲食代15%オフ
- 完全予約保証
などです。
SPGアメックスの年会費
年会費 | 31,000円(税別) | 還元率 | 1% |
---|---|---|---|
電子 マネー | - | ポイント | Marriott Bonvoyポイント |
即日 発行 | 年会費 無料 | マイルが 貯まる |
ラウンジ 利用可 | Apple Pay | 旅行 保険 |
- マイル還元率最大1.35%、ANA・JALマイルであれば1.25%
- 入会後3カ月以内に10万円利用で30,000ポイントもらえる
- カード保有者は「Marriott Bonvoyゴールドエリート会員」に無条件でなれる
- 年会費:31,000円(税別)
- 家族カード:15,500円(税別)
- ETCカード年会費:無料
(ただし、発行手数料が税別850円必要) - 国際ブランド:AMEXのみ
- 貯まるポイント:Marriott Bonvoyポイント
- ポイント還元率:1.0%~5.0%
- 海外旅行傷害保険:最高1億円(利用付帯)
- 国内旅行傷害保険:最高5,000万円(利用付帯)
- 航空便遅延費用補償(海外旅行時のみ):最高4万円
- ショッピングプロテクション(ショッピング保険):最高500万円/年
(購入から90日以内、自己負担額1事故につき10,000円) - オンライン・プロテクション:ネットショッピングの不正利用被害額全額補償
- リターン・プロテクション:商品の購入店舗が返品を拒否した場合、購入日から90日以内に商品をアメリカン・エキスプレスへ送ることが条件で全額補償
- キャンセル・プロテクション:病気などが原因で旅行や興行イベントをキャンセルした場合、キャンセル費用の10%もしくは1,000円を補償(最高年間10万円まで)
- 空港ラウンジサービス:国内主要28空港と海外2空港(ハワイ・ホノルル、韓国・仁川)本人+同伴者1名まで無料利用可
- 手荷物無料宅配サービス
- エアポート送迎サービス
- 空港クロークサービス
- 無料ポーターサービス
- オーバーシーズ・アシスト(海外渡航先で日本語サポート)
- ゴールド・ワインクラブ
- 京都特別観光ラウンジ
- アメックスゴールドカード会員向け会員誌「IMPRESSION GOLD」
- 宿泊予約サイト・エクスペディア優待サービス
少し前述しましたが、クレジットカードの年会費としては、はっきりいって高いです。
家族カード分まで含めると、46,500円(税別)となり、JCBのブラックカードであるJCB・THE・CLASSの年会費50,000円(税別)に匹敵する金額となります。
しかし、航空マイルや高級ホテル好きな人であれば、この高額な年会費をいとも簡単に回収できる、もしくは、年会費を凌駕するほどの特典サービスを受けることができるので、適性が合う人であれば、年会費が高額であってもSPGアメックスカードはオススメです。
ポイントについて
ポイント還元率は、カード利用100円につき3ポイント貯まり、ポイントの価値から換算すると1.0%です。
ただし、60,000ポイント交換時にはマイル付与率は1.25%~1.35%(ユナイテッド航空のマイル交換時のみ1.35%)、ホテル宿泊でのポイント利用は1.2%~5.0%とアップします。
マイル交換について
SPGアメックスカードが、年会費が高額であってもオススメの理由は、なんといってもマイルについての特典です。
まずは、各種ポイントプログラムの中で人気のマイルについてです。
SPGアメックスカードは、100円(税込)のカード利用につき3 Marriott Bonvoyポイントが貯まっていくわけですが、このポイントの使い道として、ANAとJALをはじめとする43もの航空マイルへの交換、無料宿泊、パッケージツアー、ホテル宿泊代の割引として利用できますし、ユニセフなどへ寄付することもできます。
さらに、Marriott Bonvoyとなってから、他のMarriott Bonvoy会員とポイントをシェアできるようになり、ポイントをあげたりもらったりすることができるようになりました。
特に、マイルへの交換はお得で、60,000ポイントまで貯めて一気に交換することで、マイル付与率が25%アップの優遇特典サービスがあります。
マイル付与率を1.25%まで上げることが可能で、これはANA・JALいずれも対象です。
特に、「貯めにくい」ことで有名なJALマイルが、本家のJALのプラチナカードである、JALカード・プラチナをもマイル付与率で上回ることになります。
また、プロパーのアメリカン・エキスプレス・カードやダイナースクラブカードでは、貯めたポイントをANAマイルへ交換する際には、クレジットカードの年会費とは別途、ANAマイルへの交換手数料として6,480円/年の年会費が発生しますが、SPGアメックスカードの場合、ANAマイルへの交換において年会費以外の費用は一切かかりません。
さらに、ANAと同じスターアライアンスに所属する米国最大の航空会社のユナイテッド航空のマイレージプログラム・マイレージプラスマイルへの交換時には優遇レートが適用されており、60,000 Marriott Bonvoyポイントの交換時に、35%アップの優遇特典サービスがあり、マイル付与率がなんと1.35%までアップします。
あまり知られていませんが、ユナイテッド航空のマイル・マイレージプラスマイルは、ANA国内線でも利用でき、実は、本家のANAマイルで国内線の特典航空券を発券するよりもかなりお得なんです。
具体的には、片道800マイル以下の区間であれば片道5,000マイレージプラスマイル、片道801マイル以上の区間であれば片道8,000マイレージプラスマイルでANA国内線特典航空券を発券できます。
貯めたポイントをANA・JALの両方のマイルへ追加料金なしでお得な交換レートで交換できることから、マイラーに人気のクレジットカードとなっていることも納得ですね。
特典が受けられるホテル
SPGアメックスカード入会後、次年度から毎年クレジットカードの年会費を支払う度に、マリオットグループのホテルにペア1泊の無料宿泊の権利がプレゼントされます(初回年会費の支払い時には、無料宿泊特典はありません)。
マリオットグループのホテルであれば、どのホテルでも無料宿泊ができるわけではなく以下のような条件があります。
- 無料宿泊の範囲:1泊1室2名
- 部屋のグレード:スタンダードルーム
- 無料宿泊特典の対象ホテル:1泊50,000ポイント以内のホテル(マリオット、SPG、ザ・リッツ・カールトン)
- 利用日制限:なし(空室があればゴールデンウイーク等繁忙期でも利用可)
- 有効期限:1年間
- 無料宿泊特典利用時にもゴールドエリート会員特典利用可
- 無料宿泊特典の付与のタイミング:SPGアメックスカード更新の約2ヶ月後
無料宿泊特典の対象の1泊50,000ポイントまでのホテルは、Marriott Bonvoyの公式ページ(https://points-redemption.marriott.com/category-change/marriott-bonvoy)に、詳細なホテル名が記載されており、「日本国内のみ」、「ポイント順」など調べやすくなっています。
では、日本国内では、具体的にどのようなホテルに無料で宿泊できるのかというと、50,000ポイント以内とはカテゴリー6以内ということになり、日本国内のカテゴリー6は、
- 東京マリオットホテル
- シェラトン都ホテル東京
- シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル
- ザ・プリンスさくらタワー東京、オートグラフコレクション
- 大阪マリオットホテル
- シェラトン沖縄サンマリーナリゾート
- オキナワマリオットリゾート&スパ
などがあります。
いずれのホテルも1泊35,000円~60,000円程度はするいわゆる高級ホテルですので、この無料宿泊の特典だけで、SPGアメックスカードの年会費の元が軽くとれちゃいます。
もちろん、ご紹介したカテゴリー6以下のカテゴリー4、5のホテルも無料宿泊の特典として利用可能ですが、どうせ無料宿泊の特典を使うのであれば、少しでも上位クラスのホテルを選びたいですよね。
また、夫婦やカップルでこの特典サービスを利用する場合は、まったく問題はないのですが、家族で利用する場合、子供の扱いはどうなるのか?という疑問が出てくると思います。
子供に関しても明確な基準があり、「添い寝の子供は追加料金なしで無料宿泊利用可」となっています。
この添い寝の子供の年齢については、各ホテルにより異なるので、無料宿泊特典の宿泊予約をする際に電話でMarriott Bonvoyに確認を取ったほうが良いと思われますが、おおむね「未就学児」もしくは「小学校低学年の子」であれば、一緒に宿泊する親と同じベッドで添い寝をするという条件で、子供の宿泊に関しては追加料金なしで無料となっています。
ただし、大人分もあわせて夕食や朝食などの食事に関しては、この無料宿泊の特典サービスに含まれていませんので、別途、食事代を支払う必要があります。
もちろん、食事なしとして宿泊し、食事はホテル周辺のお店で食べるということも可能です。
その他メリット
無料宿泊特典サービス以外にも、SPGアメックスカードの更新ごとにマリオットグループのホテル5泊分の宿泊実績ももらえます。
前述したMarriott Bonvoyの会員グレード名と達成条件の表を下にもう一度掲載しますが、
会員名 | 年間必要宿泊数 |
---|---|
メンバー(一般会員) | - |
シルバーエリート | 10泊 |
ゴールドエリート | 25泊 |
プラチナエリート | 50泊 |
チタンエリート | 75泊 |
アンバサダーエリート | 100泊+対象料金2万米国ドル |
SPGアメックスカードの取得・保有だけでゴールドエリート会員になれ、さらに5泊分の宿泊実績がSPGアメックスカードの更新のたびに特典サービスとして付与してもらえるというわけです。
プラチナエリート会員になると、ゴールドエリート会員の特典サービスに加えて、
- 空きのあるお部屋の中で最も良い部屋へのアップグレード(スタンダードスイートを含む)
- ウェルカムギフトが、ポイントの他、朝食かアメニティも選択可能
- エグゼクティブ・クラブ・ラウンジ無料
- ルームタイプの保証
- ヘルスクラブのジム・プール・サウナ等無料(ホテルによる)
の5つの特典サービスがマリオットグループのホテル宿泊時に利用できるようになります。
スターウッドグループ単体の時のSPGアメックスカードの特典として、SPGのゴールド会員になれるというものがあり、その当時は、「ウェルカムギフトと朝食無料特典サービス」、「エグゼクティブ・クラブ・ラウンジ無料(軽食とお酒が無料)」の2つがゴールド会員でも利用できていました。
これが2018年のMarriott Bonvoyへの統合により、旧SPGゴールド会員の人は、Marriott Bonvoyゴールドエリート会員に自動移行となり、ゴールドエリート会員ではラウンジ無料サービスと朝食無料サービスの特典サービスを受けることができなくなり、大きな改悪だとして苦情が多かったのです。
まとめ
マリオットグループへの統合により、新しいロイヤリティポイントプログラムMarriott Bonvoyが登場し、統合前のSPGのゴールド会員と現在のMarriott Bonvoyのゴールドエリート会員を比べると、宿泊時の飲食系の特典サービスがなくなってしまったことにより改悪となったことは事実ですが、それでも、マイラーや高級ホテル好きな人には、おすすめのクレジットカードであることには変わりありません。
年会費が高額ではありますが、マイル付与率が高い点と2年目以降のカード更新(年会費支払い)ごとにもらえる無料宿泊特典サービスの2つだけでも、十分高額な年会費の元が取れるので、問題ないでしょう。
ただ、注意点として、SPGアメックスカードにはプロパーのアメックスゴールドカードにある特典サービスの、
- レストラン2名利用時1名分無料サービス(ゴールド・ダイニングby招待日和)
- ゴルフの優待サービス(プリファード・ゴルフ)
- プライオリティパス(スタンダード)
の付帯がありません。