大和ネクスト銀行の口座開設とそのメリット・デメリットまとめ

大和ネクスト銀行とは

大和ネクスト銀行は大和証券グループが100%出資をして、2011年4月に開業したネット銀行です。
いまやその業容は口座数110万口座、預金残高3兆円と順調な伸びを維持しています。

ネット銀行は楽天銀行や住信SBIネット銀行などすでに多数ありますが、大和ネクスト銀行が他のネット銀行と大きく異なる点は、その銀行取引の多くが大和証券グループの業務と極めて強く関連付けられている点です。

その証拠に現在、大和ネクスト銀行で普通預金口座開設をする場合、必ず事前に大和証券に総合取引口座があるか、あるいは大和証券の取引口座と大和ネクスト銀行の口座開設をセットで行うことが条件となっています。(以前は大和ネクスト銀行単独で口座開設ができたましたが、現在は廃止されています)

大和証券の取引口座と大和ネクスト銀行の口座開設を同時に行い、両口座を連携させると、効率的に資産を管理することができる「ツインアカウント」サービスが受けられます。

つまり現在の大和ネクスト銀行の口座開設は、「ツインアカウント」サービス利用の前提の上に成り立っており、銀行サービスだけを受けたいと考えている利用者にはやや不便な仕組みです。
いわば大和ネクスト銀行は大和証券の取扱商品を利用するために作られた銀行と言っても過言ではありません。

今回はその大和ネクスト銀行の口座開設について、大和証券口座及びそのサービスと絡めてより詳しく解説します。

大和ネクスト銀行の口座開設

大和ネクスト銀行の口座は個人及び法人が利用できます。
ただし前章で説明したように、銀行発足当初は個人が無条件で大和ネクスト銀行の口座開設ができましたが、現在の大和ネクスト銀行の口座開設は大和証券の取引口座開設が必ずセットになっており、単独での開設はできません。

つまり「ツインアカウント」を利用する前提で、現在個人及び法人が口座利用できるようになっているので、まずこの点をしっかり理解して下さい。
また口座の数については大和ネクスト銀行では一人一口座限定となっています。

ツインアカウントの仕組み

ツインアカウントとは「大和証券の総合取引口座と大和ネクスト銀行口座の資金の連携」です。
しかし大和証券グループの取引が初めての人には、言葉だけではイメージがうまくわかないと思うので、その資金の流れをフローチャートにまとめたのでご覧下さい。

 

上記フローチャートのように、大和証券の取引口座と大和ネクスト銀行の取引口座は資金が連携され、スゥイープサービスと呼ばれる自動資金移動サービスが利用できます。

このサービスは、大和証券口座で証券取引等に利用される資金に余裕のある時は、自動的に資金が大和ネクスト銀行の口座に移動し、より高金利の預金が利用できる仕組みです。
しかも両口座での資金移動には全く手数料が掛からないのでさらにお得になっています。

また外部金融機関との連携も可能で、大和証券の総合取引口座では、振込やインターネットバンキングでの取引、または大和証券発行のダイワカードを使ってATMから入出金取引が可能です。
ま大和ネクスト銀行の口座でも振込を使って他の金融機関へ資金移動ができるようになっています。

大和証券口座で他金融機関の入出金取引が可能

なぜ、大和証券口座で銀行など他の金融機関の入出金取引が可能なのでしょうか?

「証券会社の取引口座は、銀行の資金移動には使えないのでは?」
「そもそも銀行とオンラインでつながっていないはずでは?」

大和ネクスト銀行ができるまでは、株式の売却代金を自分の大和証券口座と銀行口座を直接オンラインで結んで資金移動させることなどできませんでした。
株式売却代金の銀行口座への振込は、顧客の指示に基づき大和証券が代理で行い、当然振込日は翌日になるので入金が遅くなります。

現在は、大和証券は大和ネクスト銀行を所属銀行とする、「銀行代理業者」として、「預金の受入れ」「内国為替取引(つまり振込)」を内容とする契約の締結の媒介ができるようになっているのです。
これなら特に証券取引に必要なタイムリーな口座間の資金移動が可能になります。

しかしあくまで大和証券が取り扱うメインの有価証券(株式、債券等)や保険は円預金でないので、元本保証もなく、大和ネクスト銀行取扱いの元本保証のある預金と混同しないようきちんと理解しておかねばなりません。

大和証券総合取引口座の口座開設の流れ

そこでまず、大和ネクスト銀行の銀行代理業者となっている、大和証券の総合取引口座開設の流れを押さえておきます。
この総合取引口座の理解なしには大和ネクスト銀行の口座開設は語れません。

ただしこちらは口座開設に年齢制限があり満20歳以上から可能です。
基本的な開設の流れは以下のようになります。

①スマートフォンで申込
口座開設の申込窓口はスマホ以外にインターネット、電話で資料取り寄せ、大和証券の店舗で開設の4通りあります。

このうち口座開設に掛かる時間が最も短いのは店舗窓口で、早ければ申込当日に利用でき、スマホだと当日~1日程度、インターネットだと3日~2週間、大和コンタクトセンター(電話開設)だと2週間程度必要です。

どの手続きも必要書類としては、

  • マイナンバーを確認できる書類(個人番号カードまたは通知カード)
  • 本人確認書類(免許証、パスポート等)
  • 印鑑(スマホ経由の場合、印鑑は不要)
  • 振込先金融機関の本人名義口座の口座番号(通帳現物かキャッシュカード)

などがあります。
※他金融機関の本人名義口座は証券口座からの送金や株式配当金の受取りに使用するもの

②口座に取引資金の入金
総合取引口座への入金にはダイワのオンライントレード、ATM、銀行振込が利用できますが、おすすめは「ダイワのオンライントレード入金取引サービス」が便利です。

③資金を使って取引スタート

大和ネクスト銀行の普通預金口座の開設の流れ

大和証券に取引口座が開設できて、オンライントレードが利用できるようになったとします。
そこでこの章ではオンライントレードを利用して、大和ネクスト銀行の円預金口座を開設する流れについて解説します。
※大和ネクスト銀行の口座開設では「円預金口座」と別に「外貨預金口座」が開設できますが、これは別契約になる上に、利用者が相対的に円預金口座より少ないと考えるので、混乱を避けるため本記事では説明を省きます

  1. 大和証券のホームページからオンライントレードにログイン
  2. 「支店コード」「口座番号」「ログインパスワード」入力
  3. ページ左下にある「大和ネクスト銀行の口座開設」ボタンをクリック
  4. 「取引まで流れのご案内」を読んで「お手続きの開始」ボタンクリック
  5. ここで画面に示された「銀行約款集」「スゥィープサービス取扱規定」などきちんと読んで各ボタンを承認クリック、最後に銀行取引に使うパスワード等を設定して「口座開設」ボタンをクリック
  6. 口座開設完了

口座開設後の手続

預金口座の開設が終了してから1週間程度で大和ネクスト銀行から「お取引カード(認証番号等記載カード)」が自宅に届きます。
お取引カードはキャッシュカードとは異なり、大和ネクスト銀行の振込・登録情報の変更等の重要取引時に使用するセキュリティカードです。
振込等の取引まで大切に保管して下さい。

大和ネクスト銀行の口座開設ではキャッシュカードは発行されないので注意が必要です!

ダイワカードとは

大和ネクスト銀行の口座開設ではキャッシュカードは発行されませんが、大和証券の総合取引口座開設時にダイワカードが発行されます。
このカードは主に大和証券の取引口座で資金を出し入れする時に使用し、全国の提携ATMで利用可能です。

また、ダイワカード利用時に入力する暗証番号(4ケタの番号)はATM利用時だけでなく、オンライントレードの取引時、コンタクトセンターの自動音声応答を利用する時の暗証番号も兼ねています。

大和ネクスト銀行の通帳・取引明細について

大和ネクスト銀行の口座取引に関しては、他のネット銀行同様、紙ベースの通帳は発行されません。

代わりに口座利用者はネットを利用して銀行の個人アカウントにアクセスし、自分の取引明細を確認することができます。
取引明細は過去3ケ月分まで確認することができ、データは自分のパソコンで保存または印刷することも可能です。

ダイワカードを利用できる提携ATMと利用手数料について

上記のツインアカウントのフローチャートでも示しているように、大和ネクスト銀行の口座ではそもそもキャッシュカードが発行されないので、カードを使った入出金取引はできません。
しかし代わりに大和証券の総合取引口座のダイワカードを使って全国の提携ATMから出し入れができます。

そこで提携ATM先別に、入出金別・稼働日・稼働時間・手数料対応一覧表を作成したのでご覧下さい。

提携ATM先手続き平日・稼働時間手数料対応土曜・稼働時間手数料対応
大和証券店舗内入金9:00~18:00無料取扱いなし -
出金9:00~18:00無料取扱いなし -
セブン銀行ATM入金9:00~18:00無料取扱いなし -
出金9:00~18:00無料取扱いなし -
ゆうちょ銀行入金8:00~21:00無料9:00~17:00無料
出金8:00~21:00108円9:00~21:00108円
三井住友銀行入金8:00~20:00無料9:00~21:00無料
出金8:00~21:00108円9:00~21:00108円
みずほ銀行入金取扱いなし -取扱いなし
出金8:00~21:00108円9:00~17:00108円
三菱東京UFJ銀行入金取扱いなし -取扱いなし
出金8:00~21:00108円9:00~17:00108円
りそな銀行入金取扱いなし -取扱いなし
出金8:00~21:00108円9:00~17:00108円
埼玉りそな銀行入金取扱いなし -取扱いなし
出金8:00~21:00108円9:00~17:00108円
SMBC信託銀行入金取扱いなし -取扱いなし
出金8:00~21:00108円9:00~17:00108円
セブン銀行入金8:00~21:00無料9:00~21:00無料
出金8:00~19:00/無料
19:00~21:00/108円
9:00~19:00/無料
19:00~21:00/108円
ローソンATM入金8:00~20:00無料9:00~21:00無料
出金8:00~20:00108円9:00~21:00108円

※日・祝・年末年始の取り扱いはなし

この一覧表をまとめると、

①提携ATMを使った入金手数料は全て無料
②提携ATMで出金した場合

  • 大和証券店舗内設置のセブン銀行ATMは無料
  • セブン銀行ATMは8:00(土曜は9:00)~19:00は無料、19:00~21:00は有料(108円/回)
  • その他提携他行・コンビニATMは有料(108円/回)

となります。

大和ネクスト銀行の振込・振替手数料について

大和ネクスト銀行の振込・振替手数料に関しては以下のような取扱いになっています。
フローチャートを参考にそれぞれの流れを確認してみて下さい。
大和証券口座も関係しているのでやや仕組みが複雑です。

⒜大和ネクスト銀行本人名義口座から他の金融機関の本人名義口座への振込手数料は全て無料
※一部金融機関については無料となる回数に制限あり
⒝他の金融機関本人名義口座から大和ネクスト銀行の本人名義の口座への振込は、取扱金融機関所定の振込手数料がかかる
⒞大和ネクスト銀行内の本人名義口座、他人名義口座間の振込手数料は無料
⒟「ダイワ・ツインアカウント」利用中の顧客は、大和ネクスト銀行口座と大和証券口座との間の資金移動に掛かる振替手数料は無料

◆大和ネクスト銀行本人名義口座から他の金融機関の他人名義への振込手数料は月3回まで無料、4回目以降は216円/回(税込み)など、一部有料対応があるのでフローチャートから除いています。

大和ネクスト銀行の預金金利

大和ネクスト銀行では円預金の場合、普通預金及び定期預金が利用できます。
かつて銀行発足時はかなりの高金利を付けていましたが、現在は他行並みになりネット銀行としての魅力も少ないです。

さらに取引度合いに応じて金利のプレミアムサービス(金利優遇サービス)も実施されていましたが、現在は金利情勢の影響で中断されていて、こちらも取引の妙味がありません。

そこで大和ネクスト銀行で金利絡みで取引妙味を味わうためには、やはり実施中のキャンペーンに参加することがベストだと考えています。

大和ネクスト銀行のキャンペーン

口座開設に絡むキャンペーンは「外貨+円定期預金・二重奏」です。

外貨+円定期預金・二重奏

ダイワのツインアカウント利用者対象で、以下の2つの条件を満たした場合、「米ドル定期3ケ月・年1.50%+円定期3ケ月・年1.50%」の優遇金利が得られます。

  1. 円預金で50万円以上の米ドル買い付け、それを米ドル定期預金に預け入れ
  2. 同時に10万円以上50万円未満内で円定期預金に預け入れ

他にも期間限定のキャンペーンが行われていることもあります。

大和ネクスト銀行での口座開設のメリット・デメリットまとめ

最後に改めて大和ネクスト銀行での口座開設のメリット・デメリットをまとめました。

メリット

  • 大和証券取引口座とセットで利用できるので、大和証券ユーザーの利便性が高くなっている、また両口座間の資金移動も全て無料
  • 提携ATM経由の入金手数料は全て無料である
  • 提携ATMで出金の場合、セブン銀行ATMを使えば無料対応がある、ただし19:00以降は有料対応に変わるので要注意
  • 他金融機関(ただし大和ネクスト銀行の指定金融機関に限る)の本人名義口座と大和ネクスト銀行の本人名義口座間の資金移動は全て無料
  • 大和ネクスト銀行本人名義口座から他の金融機関の他人名義への振込手数料は月3回まで無料なので、大和証券の取引等がなくてもこのサービスをうまく使えば、大和ネクスト銀行の利用価値が高まる

デメリット

  • 大和証券ユーザー用に作られた銀行なので、通常の銀行サービスを期待している人には物足りない
  • 提携ATMを利用して出金した場合、セブン銀行ATM除き、全ての提携先の出金手数料が有料対応とやや利便性に欠ける
  • 日曜・祝日対応がないのが残念

 

まとめてみると大和ネクスト銀行は、やはり大和証券で株式・債券・外貨取引等を行うユーザー向けに作られた銀行であることがよく分かります。

特に証券取引は状況の変化に対して即応しなければならない場面も多く、大和ネクスト銀行を通じて資金取引の面でかなり利便性が上がりました。
大和証券で取引をしたい人には大和ネクスト銀行は本当にありがたい存在だと思います。

 



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