子供を連れて新幹線を利用する際の料金・マナーなどまとめ
赤ちゃんや未就学児の子供を連れて新幹線を利用する時って、何かと気を遣うことが多いですよね。
赤ちゃんの泣き声や、小さな子供が新幹線の車内で走り回ったり、落ち着きをなくして暴れだしたりして他の乗客に迷惑をかけた時のことを想像するだけで頭痛がしてくるものです。
また、
「そういえば、未就学児の子供が無料で新幹線を利用した時って、自由席の座席に座らせていいんだっけ?」
「赤ちゃんの授乳やオムツ交換はどこでしたらいいの?」
など、実は、新幹線の子供に関するルールやマナーは、知っているようで知らない人が意外と多いんですよね。
そこで、知ってるようで知らない子供を連れて新幹線を利用する際の料金やマナーなどをまとめました。
この記事に書いてあること
新幹線に子供が乗る場合、子供料金が適用されるのか?
新幹線をはじめとする鉄道料金には、大きくわけて、
- 大人料金
- 子供料金
の、2つの料金体系があります。
さらに、鉄道料金においては、同じ子供でも、
- こども(小学生)
- 幼児(1歳以上の未就学児)
- 乳児(1歳未満)
という分類をします。
この具体的な年齢区分については、下図(JR東海公式ホームページより抜粋)をご覧ください。
このように、鉄道料金のルールにおいて、「こども」とは小学生、「幼児」とは未就学児、「乳児」とは0歳児の赤ちゃんと明確に区別されています。
こども料金(小学生)について
こども料金についてです。
この「こども」の区分に含まれる子供の場合は、新幹線をはじめ鉄道を利用する際の「乗車券、特急券、急行券、指定席券」料金は、大人の半額となります。
※5円の端数は切り捨て(例えば計算上半額が1,435円となった場合のこども料金は1,430円)
ただし、子供料金には例外規定があり、「グリーン券、寝台券、乗車整理券、ライナー券」は、子供料金が適用されず「大人料金と同額」の料金が必要です。
今は寝台特急が激減し、定期列車は東京~出雲・高松間の寝台特急サンライズ号のみとなり、利用機会はあまりないかもしれませんが、寝台特急における子供料金の解釈が複雑なので、特に注意が必要です。
具体的に寝台特急サンライズ号を利用する場合(普通車指定席扱いとなるノビノビ座席は除く)、
- 大人1人+子供1人
- 子供2人
の2つの場合に限り、2人で1つの寝台を利用が可能です。
つまり、大人1人+子供1人の場合は子供の寝台料金は不要、子供2人の場合は大人料金1名分の寝台料金となります。
幼児・乳児の料金について
基本的に幼児と乳児の鉄道料金は新幹線も含めて無料です。
しかし、例外として、有料となる場合があります。
1.大人1人に幼児が3人以上
大人もしくは子供(小学生)1人に同行する幼児の人数が2人を超える場合、3人目から子供料金が必要です。
2.特別なきっぷの場合
幼児・乳児が、
- 普通車指定席
- グリーン車指定席(グリーン車自由席を除く)
- 寝台
を利用する場合、乗車券と普通車指定席特急券については子供料金が必要、グリーン車指定席料金と寝台料金は大人料金が必要です。
ただし、グリーン車指定席を利用する大人の膝の上に座る、大人が抱っこする場合は無料となります。
また、寝台料金は大人1人と同室で利用する場合には乳児・幼児の寝台料金は不要です。
3.幼児が1人で利用する場合
幼児が一人で鉄道を利用する場合、子供料金が必要です。
上記の3つに該当する場合は、幼児・乳児とはいえ、子供料金が必要となります。
大人2名で未就学児の子供を連れていく場合、無料で済むのは4名までで5人目以降の未就学児の子供は子供料金が必要です。
また、一人で鉄道を利用する練習や経験をさせたいという思いから、出発駅まで親が見送って、到着駅でおばあちゃんがお迎えに来るというパターンで、未就学児の幼児の子供が一人で新幹線を利用する場合もあると思いますが、この場合も未就学児の子供とはいえ、単独での利用となるため子供料金が必要です。
赤ちゃんを乗せる場合、気を付けることは?
小学生や幼稚園児の子供ならまだ「言って聞かせればわかってくれる」場合がありますが、赤ちゃん(乳児)を連れて新幹線に乗車した場合、普段と環境が異なるため不安定になり泣きわめいたらどうしよう、授乳やオムツ交換はどこでしたら良いのかなど、不安に思うことが多いと思います。
赤ちゃん連れのお母さんに、ぜひ、知っておいていただきたい新幹線の設備が「多目的室」です。
多目的室とは、ベッド兼座席(昔の寝台特急の座席のイメージ)が設置されている施錠ができる個室です。
(JR東海公式ホームページより抜粋)
この多目的室は、身体の不自由な方や要介護状態の方が優先して利用できる特別な個室ですが、授乳やオムツ交換での利用や、健康な方でも急に体調不良になった場合でも、多目的室が空いていれば利用することができます。
多目的室が設置してある新幹線の号車は、
- 北海道・東北・山形・秋田新幹線
- 9号車(E2系10両編成の場合)
- 7号車(E2系8両編成の場合)
- 8号車(E4系8両編成の場合)
- 16号車(E4系16両編成・E7系12両編成の場合)
- 東海道新幹線
- 11号車(全列車)
- 山陽新幹線
- 11号車(16両編成の場合)
- 7号車(8両編成の場合)
- 九州新幹線
- 7号車(8両編成の場合)
- 5号車(6両編成の場合)
となります。
ただし、多目的室を事前に予約できる方は、障がい者の方など障害者手帳をお持ちの方や歩行困難な要介護者の方などに限られます。
子連れの方が利用できるのは、多目的室が空いている場合のみです。
とはいえ、常に多目的室が利用されているわけではなく、むしろ空いていることの方が多いのが実態なので、基本的に利用できる可能性が高いと考えておいて大丈夫でしょう。
事前予約以外の方が多目的を利用する場合には、車掌さんの許可が必要ですので、車掌さんに申し出るようにしてください。
車掌さんが利用OKと判断した場合に、多目的室のカギを開けてもらい利用できるようになりますので、赤ちゃんを連れて新幹線を利用する場合などは、多目的室が設置してある車両を利用すると良いでしょう(その車両が普通車指定席車両の場合は、事前に指定席を予約しておくことが重要です)。
未就学児の子供や赤ちゃんを自由席に座らせる時、料金は必要?
幼児である未就学児の子供と乳児である赤ちゃんの新幹線の料金は基本的に無料です。
ただし、指定席を利用する(1席を未就学児の子供や赤ちゃんが座る、あるいは赤ちゃんが横になっている小さなハンモックなどを座席に置く)場合には、大人料金の半額の子供料金が必要ですし、グリーン車指定席を利用する場合には、グリーン車料金部分は大人料金が必要となります。
しかし、「大人の膝の上に未就学児の子供を座わらせる、赤ちゃんを抱っこしている場合」には、普通車指定席やグリーン車指定席でも幼児・乳児は無料です(幼児・乳児が席を使わない場合は無料)。
では、自由席の幼児・乳児の座席利用についてはどうなのでしょうか?
結論としては、幼児・乳児が新幹線の自由席の座席を使う場合、無料です。
ただし、自由席が混み合ってきたら、自分の子供を膝の上に座らせて席を空けるなどの配慮は必要です。
もはや、マナーの問題ですね。
快適に安く新幹線を子連れで利用する方法とは?
幼児・乳児の子供を連れて新幹線を利用する場合でも、なんとか節約して少しでも安く新幹線を利用したいという方も多いと思います。
幼児・乳児を確実に座席に座らせたい場合には、大人料金の半額の子供料金を払って指定席を利用すべきですが、自由席車両が多く連結されている新幹線を利用すれば、着席のチャンスも高くなるため、お得に新幹線を利用できる可能性も高いということですね。
では、自由席車両が多く連結されている新幹線とは、具体的にどの新幹線なのでしょうか?
北海道・東北新幹線であれば「はやぶさ号、はやて号、こまち号」、東海道・山陽新幹線であれば「のぞみ号」といった停車駅の少ない、いわゆる速達タイプの新幹線には、自由席の車両数が少ない、もしくは全車指定席で自由席の設定そのものがないといった特徴があります。
しかし、北海道・東北新幹線の「やまびこ号、なすの号」や東海道・山陽新幹線の「ひかり号、こだま号」であれば、自由席の車両が多く設定されています。
やまびこ号やひかり号、こだま号は停車駅が多いため、目的地までの所要時間が多くかかるというデメリットはありますが、もし、時間に余裕があるのであれば、停車駅が多く自由席車両が多い新幹線を利用すれば、空いている可能性が高いので着席チャンスが大幅に増えます。
各新幹線自由席の車両数と割合は下記の通りです。
北海道・東北・秋田・山形新幹線
- はやぶさ号、はやて号、こまち号
- 全車指定席で自由席車両なし
- やまびこ号
- 10両編成中1~5号車が自由席(自由席車両の割合50%)
- つばさ号
- 7両編成中16、17号車が自由席(自由席車両の割合28.5%)
※やまびこ号連結運転するため、つばさ号は11~17号車 - なすの号
- 10両、16両編成中1~8号車が自由席(自由席車両の割合50~80%)
※ただし、車両号数や自由席車両の割合が変更となる場合が多いので要注意
上越新幹線
- とき号、たにがわ号
- 10両編成中1~5号車が自由席(自由席車両の割合50%)
- Maxとき号、Maxたにがわ号(2階建て車両)
- 8両編成の場合1~5号車が自由席(自由席車両の割合62.5%)
16両編成の場合1~4号車と9~12号車が自由席(自由席車両の割合50%)
北陸新幹線
- かがやき号
- 全車指定席で自由席車両なし
- はくたか号
- 12両編成中1~4号車が自由席(自由席車両の割合33.3%)
- あさま号
- 8両編成の場合1~4号車が自由席(自由席車両の割合50%)
12両編成の場合1~5号車が自由席(自由席車両の割合41.6%) - つるぎ号
- 12両編成中1~4号車が自由席(自由席車両の割合33.3%)
東海道新幹線
- のぞみ号
- 16両編成中1~3号車が自由席(自由席車両の割合18.7%)
- ひかり号
- 16両編成中1~5号車が自由席(自由席車両の割合31.2%)
- こだま号
- 16両編成中1~7号車、13~15号車が自由席(自由席車両の割合62.5%)
山陽新幹線
- のぞみ号
- 16両編成中1~3号車が自由席(自由席車両の割合18.7%)
- ひかり号
- 16両編成の場合1~5号車が自由席(自由席車両の割合31.2%)
8両編成の場合1~3号車が自由席(自由席車両の割合37.5%) - ひかりレールスター号
- 8両編成中1~5号車が自由席(自由席車両の割合62.5%)
- みずほ号
- 8両編成中1~3号車が自由席(自由席車両の割合37.5%)
- さくら号
- 8両編成、6両編成いずれも1~3号車が自由席(自由席車両の割合37.5%、50%)
- こだま号
- 8両編成中1~3、7、8号車が自由席(自由席車両の割合62.5%)
九州新幹線
- みずほ号
- 8両編成中1~3号車が自由席(自由席車両の割合37.5%)
- さくら号、つばめ号
- 8両編成、6両編成いずれも1~3号車が自由席(自由席車両の割合37.5%、50%)
※つばめ号には全車自由席の列車もある
このように、北海道・東北新幹線のやまびこ号、なすの号、北陸新幹線のあさま号、東海道・山陽新幹線のひかり号、こだま号、山陽新幹線のひかりレールスター号などは自由席車両の割合が50%を超えています。
つまり、列車編成の半分以上の車両が自由席車両ということですから、このような新幹線を狙って乗れば、子連れでも着席できる可能性が高いため、お得に快適に新幹線を利用できる可能性が非常に高いといえますね。
特に、自由席車両の割合が高く、かつ、停車駅が比較的少ない、東海道・山陽新幹線のひかり号とひかりレールスター号(山陽新幹線区間のみ)は、かなりおすすめですよ。