独身税が日本で実施される可能性はない!その理由とは?
「少子化対策には独身税の導入しかない」
「結婚しない独身者にはペナルティーを・・・!」
こんな恐ろしい意見を、聞いたことはないでしょうか?
社会について研究している芹沢です。
- 独身者と既婚者
- 東京と地方
- きのこたけのこ戦争
このようにメディアによって、必要以上に対立を煽られることも多い現代ですが、独身者と既婚者の対立が浮き彫りになったのが、一昨年の報道でした。
2017年9月、石川県かほく市のママ課メンバーが、財務省の官僚との意見交換会で、「結婚をして子供を持つと生活水準が下がる。その分の負担を独身者にお願いできないか」と相談したと報道されました。
この報道について、かほく市ママ課は否定しており、サイトも削除されていることから、現在では事実か定かではありません。
独身税なんて無茶なこというな・・・
と思うかもしれませんが、この税制は過去にブルガリアで実施されたことがあります。
この記事に書いてあること
ブルガリアでの実施は失敗に終わった。
- 1968-1989年に実施
- 労働力を増やすのが目的。
- 収入の5%から10%徴収
- 裏目に出て出生率2.18→1.86に下がってしまう。
結果はさらに独身者の貧困を生んでしまい、出生率の低下をまねき失敗に終わりました。
まあ、それはそうなるよねと思うような結果です。
今の時代であれば、さまざまなデータからシミュレーションをすることができるので、このような失敗は起きにくいと考えられます。
ですが日本でも、少子化対策のために独身税が必要だという声がたびたびあがるのは確かです。
これを受けてネット上では、
「独ハラだ!」
「個人の選択を納税基準にするのは憲法違反」
「これ以上お金なくなると、さらに結婚遠のく・・・」
という声がある一方で、「少子化対策には独身税しかない」など賛成の声も多くあるようです。
独身税が実施されるとすればどんなことが予想される?
- 20歳以上の独身者を対象に課税される。
- 男女で税額に差が付けられる場合もある。
- 既婚者でも子供がいなければ対象になる。
しかし、結婚する意思がないのか、結婚できないのかを慎重に調べる必要が出てきます。
生活保護の不正受給のように、不公平な制度になりかねません。
- 結婚が認められない性的マイノリティ
- 不妊症
- 家族の介護で結婚できない
独身税は、以上のような人の自由を無視する制度です。
子供を産めない人はどのように調べるのか?
このようなプライバシーに関わる問題も出てきます。
そして実施される段階になれば、大反発が予想されます。
たとえば記憶に新しいのが、こちらの報道です。
2018年7月自民党の杉田水脈議員が、国会議員の同性カップルに対して、「彼ら彼女らは子供を作らない、つまりLGBTのカップルは生産性がない」と主張して大炎上しました。
この発言はLGBTの方はもちろん、子供を産みたくても産めない女性、働きたくても働くことができない人達まで、すべて生産性だけで切り捨ててしまう大変危険な主張です。
さまざまな人達が暮らしていることへの想像力を欠き、納税額、子孫の数など、社会へどれだけ還元してるかだけの視野で物事を見ています。
このような視野が狭い人が多いままだと、グローバルな時代に逆行した社会になるでしょう。
結婚して子供を持つことを義務化するのは自由主義に反する
現代において恋愛や結婚は、自由に選択できる時代です。
しかし独身税の導入は、この自由主義に反する社会主義的な考えと言えるのではないでしょうか。
自由主義が個人の幸福を優先するのに対して、社会主義は政府が介入して社会全体がよくなるように働きかけます。
ここに個人の自由はありません。
つまり独身税は、当時のブルガリアのような社会主義であれば、導入検討されるのもわかるのですが、現在の日本のような自由主義(経済的な側面だと資本主義)の国にはマッチしません。
なぜ少子化になったのか?を考えるとわかる
さて少子化になったのは、よく言われる若者のお金離れが問題なのでしょうか?
私はそうは思いません。
一昔前であれば、結婚するのが当たり前、結婚しない人はおかしいという風潮であったため、しかたなく結婚してた人も多くいたと考えられます。
たとえば、2016年にヒットしたアニメ映画「この世界の片隅に」という作品があります。
この話は昭和初期の広島呉市を舞台とした作品で、主役の女性すずさんにスポットを当てて進んでいく話です。
すずさんが18歳になった太平洋戦争中の昭和18年、家に縁談話が来ます。
そこですずさんは、「そっか、私もとうとうその日が来たか」みたいな感じで、顔も見たこともない相手と結婚することに決めるんです。
「えー!嘘でしょ、結婚だよ・・・?」と現代人がみれば、度肝を抜かれるような話ですが、当時ではわりとあったようですね。
衝撃を受けました・・・!
これはかなり昔の話で、今の時代を生きる人にとって、現実的ではないかもしれませんが、わりと最近まで結婚しなきゃいけないという風潮があったように思います。
「そろそろ結婚しないとね!」
「子供は作らないの?」
少し前まで、このような会話があちこちで飛び交っていました。
しかし今では結婚しない選択をする人も増えてきました。
ゼクシィのCMで、「結婚しなくても幸せになれるこの時代に・・・」のコピーが象徴するように、婚活をビジネスとするゼクシィですらそのことを隠せなくなってきてます。
時代が明らかに変わってきてる感があります。
日本も遅れながらですが、結婚においても個人の自由を尊重しようという時代になってきてるのではないでしょうか。
しかし反対に、結婚したいと考える人も多くいます。
ですが結婚に前のめりでない人達が増えたことによって、昔と比べてマッチングしづらくなっている印象もあります。
「どうしても結婚したいわけではない。」
このような人が増えてくると、結婚したい人でも相手が見つかりづらくなりますよね。
続いてお金がないから結婚できないという意見についてです。
お金がないから結婚や子供を持つことができないというのは、子供を育てるお金や収入を持ち合わせてないのではありません。
限られたお金を、自分の幸福を最大化させるために使いたいということではないでしょうか。
つまりその人達にとって最優先は、子供ではないということです。
そもそも少子化は問題なのか?
少子化が進み、人口減少すると何が問題なのでしょうか?
なんとなく「少子化になることは日本滅亡につながる」みたいな風潮がありますが、ここでは少し掘り下げてみたいと思います。
少子化とは子供の数が少なくなり、現役世代が徐々に減っていき、将来の人口が少なくなることですよね。
これによって、
- GDPが低下し経済成長できなくなる
- 社会保障の持続が難しくなる
というのが問題になるかと思います。
まず1のGDP低下ですが、経済成長できなくなると国民の豊かさが損なわれる点を問題視されてます。
たしかに労働人口が減ると、経済成長は難しくなるでしょう。
しかし人口が減っても、ドイツなど経済成長している国があるのも事実ですし、今後AIによって仕事が奪われる話もあります。
ですので今ほど、労働人口が必要じゃなくなる可能性もありますね。
また経済成長し続けることが、本当に国民にとって幸福なことなのでしょうか?
GDPのランキングと、幸福度ランキングの違いを見れば明らかですよね。
・世界幸福度ランキング2018
第1位: フィンランド
第2位: ノルウェー
第3位: デンマーク
第4位: アイスランド
第5位: スイス
第6位: オランダ
第7位: カナダ
第8位: ニュージーランド
第9位: スウェーデン
第10位: オーストラリア【最新版】「世界幸福度ランキング2018」が発表される / 第1位はフィンランド、日本はまさかの……|ロケットニュース24
人口減少しても国民がこの国に生まれてよかったと思える社会を作っていくことが大事だと思います。