正社員として働くメリットは減少傾向に!その理由とは【2020年最新版】
「正社員になりたい・・・!」
「夢は正社員・・・!」
こういったフレーズを目にすることも多いですよね?
背景には給与面などで、正社員の方が優遇・好条件といった印象が強いことではないでしょうか。
就職活動のため雇用についても研究をしている芹沢です。
しかしあまり知られていないのですが、労働法20条では有期契約労働者と無期契約労働者との間で、不合理に労働条件を相違させることが禁止されています。
さらに2017年には同一労働同一賃金が提唱されているんです。
にもかかわらず、やはり正社員のほうがメリットがあることが多いのも事実。
しかし正社員になりたいと、リスク回避を求めることこそがリスクである場合もあります。
実際のところはどうなのか、数字やデータに裏付けされた正社員であることのメリットやデメリットを詳しく調べてみました!
この記事に書いてあること
雇用形態別の特徴について
それではここで一旦、雇用形態についておさらいしてみましょう。
現在日本には、次の様な雇用形態があり、正規雇用に分類される以外は非正規社員としてみなされています。
正規雇用
- 正社員
- 限定正社員
1.正社員
9時~17時など、決まった勤務時間で長期間にわたって働くスタイルです。
勤続年数によって昇給があることや、キャリアアップにより役職が付いてくることもあります。
2.限定正社員
働く場所、職種、労働時間を限定して働く正社員です。
通常の正社員と違い会社都合で移動になるといったリスクがなくなる分、正社員に比べると給与や待遇面では少し劣ります。
非正規雇用
- 派遣社員
- 契約社員
- 無期契約社員
- パート・アルバイト
1.派遣社員
派遣会社を通じて企業と雇用契約を結ぶため、給与は派遣会社から支給されます。
一定の労働条件を満たせば派遣会社の保険に加盟することも可能です。
企業との雇用契約が切れた時点で他の企業を紹介してもらえるというシステムなので、同じ職場で働くのは3年というケースが多いです。
2.契約社員
働く期間をあらかじめ決めて企業が採用する社員です。
期間は一般的に3~5年となります。
企業から給与を与えられるため、一定の労働条件を満たせば企業の保険に加盟することも可能です。
条件によってはボーナスや退職金が支給されることもあります。
3.無期契約社員
2013年4月から契約社員を5年を越えて採用した場合、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換するよう法律で定められました。
仕事内容や条件は以前とほとんど変わらないか、多少待遇されて無期限で働けるという内容です。
4.アルバイト・パート
仕事内容としては正社員と同じですが、働く日・時間を選択できる点で融通が利きます。
仕事内容も選ばなければ常時たくさんの募集があるため、他の雇用体系に比べると仕事を見つけやすいメリットもあります。
雇用形態による労働条件の差別は認められていない
様々な働き方があり、給与や条件にも違いがあることをお話しました。
ところが、雇用体系の違いで給与や条件に違いが出てはいけないことになっているんです。
ルール上は正社員であることのメリットは少ない
本来は正社員・非正社員間に差はなく、正社員として働くメリットは少なくなるはずです。
ところが実際の裁判事例や企業側の考えを見てみると、やはり正社員に有利なのが現状なんですね。
例えば、労働契約法20条によりパートや契約社員など有期契約で働いている人と、正社員として働く人との間で仕事の内容や責任などが同じだとしましょう。
その場合、賃金・福利厚生・労働時間・通勤手当・食堂の利用といった労働条件に不合理な差を設けてはいけないと規定されています。
さらに、「同一労働同一賃金ガイドライン案」も提唱されています。
このガイドラインは法的拘束力を持つものではありませんが、同一の貢献をした人には雇用形態に関係なく同一の支給をする必要があり、貢献度に違いがあるならば正社員・非正規社員に関わらず貢献度に応じて差を付けるべきと規定しています。
でも正社員のほうが優遇されているイメージはありますね。
現実と理想のギャップで実際には格差がある
ところが実際の裁判事例や企業側の考えを見てみると、やはり正社員に有利なのが現状なのです。
例えば、正社員の売店店員との賃金・労働条件の格差を契約社員が訴えた裁判では、「(非正規と)正社員とは業務内容や責任の程度に大きな違いがある」とし、給与などの格差はあって当然と結論し、原告側の敗訴となりました。
トラックドライバーの起こした訴訟では、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当に関して主張が認められた一方で、住宅手当、皆勤手当、家族手当等の不支給、一時金、定期昇給、退職金については認められないと判断されています。
このように、労働契約法やガイドラインに基づく理想像はあっても、現実が追い付いていない状態なのです。
【差別】「非正規社員はエレベーター使用禁止」に戸惑いの声https://t.co/aYG4nE9EOh
派遣社員のエレベーター使用禁止は「電気代節約」が理由だったという会社も存在。労働契約法に違反する可能性があるという。 pic.twitter.com/5fAFYNI8CH
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2017年2月28日
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正社員として働くメリット
繰り返しますが、労働契約法20条で定められているように、正社員・非正社員で給与・労働条件の差別は認められていません。
ところが、現実には以下のような格差が未だまかり通っています。
1,定年まで働ける可能性が高い
正社員であれば雇用期間を定められてない(終身雇用)ので、雇い止めされるといことがありません。
2018年から無期契約社員とよばれる雇用形態も始まりましたので、このあたりの差はなくなってくるかもしれません。
実力主義が台頭している現在では、終身雇用という考えは少し古く、若い方であれば積極的に転職をするという人も多いですよね。
企業側も正社員だから首にしないという事はなく、やはり能力や会社への貢献度によって、正社員でも十分にリストラの対象になります。
そのような側面もありますが、やはり正社員は「長期雇用を維持すべき」に「賛成、どちらかというと賛成」の企業が80.2%(非正社員の場合は68.8%)というデータが示すように、「正社員は優先して長く雇用すべき」といった考えが未だ抜けきれていません。
※データ参考:労働政策研究・研修機構
2,固定給と賞与に恵まれている
正社員であれば年数やキャリア実績に応じて固定給がアップすることが一般的ですが、非正規社員の場合キャリアアップ・給与アップを約束する企業はほとんどありません。
以下、給与などの待遇面で正社員との差を訴えた裁判事例ですが、いずれも敗訴となっています。
- 「定期昇給、退職金についても正社員と同一の地位にあるとは認められない」と判断した
- 東京高裁の裁判官は、仕事内容などを同じと認めながら、「定年後再雇用者の賃金減額は広く行われ、社会的にも容認されている」として、原告の主張を退けた
これらの裁判例からみて明白なように、非正規社員では定期昇給・退職金は認められにくいのが現状なのです。
3,資格取得のバックアップを優先的にタダで受けられる
「正社員は長く雇用すべき」と言った考えが抜けきらないためか、社内で責任のある仕事を任せられる人材に育てるため、会社が率先して人材育成に投資をするのは正社員です。
平成27年に自己啓発を行った労働者
正社員であれば、会社のバックアップのもとで研修や勉強会に出席し、自分のスキルアップに繋げるチャンスに恵まれているということです。
そうして得られたスキルや資格は転職の際にも活用できます。
4,福利厚生が約束され、各種手当も充実している
厚生労働省のデータを確認すると、適用されている各種制度割合は正社員に比べて正社員以外は大きく下回っていることが分かります。
就業形態、現在の会社における各種制度等の適用状況別労働者割合
※参考:厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」平成26年 個人調査
さらに正社員であれば社員食堂や保養所、寮、企業年金、さまざまな福利厚生サービスの適応対象となるケースもありますが、非正規雇用ではその対象になれないことも多いのです。
5,転職の際に職歴がスキルとして認められやすく有利
社内で担う責任や立場が正規社員・非正規社員では区別され、特に正社員として働いていた実績は履歴書に記載するとメリットとなります。
一方、契約社員・派遣社員として働いていた場合、その旨を記載する必要があり経歴としては正社員に負けてしまいます。
正社員であれば職歴=スキルとして認められ転職の際にも有利になるんです。
6,社会的な信用を得られる
収入が安定している正社員は住宅ローン・クレジットカードを作る際に、「収入が安定している正社員ならば、しっかりお金を返済してくれる」と判断されやすく、審査に通りやすいと言われています。
正社員を目指すのであれば早めに動いた方がいい
転職市場を年間で見た場合、一般に3〜4月と9〜10月に新規求人が増えます。
この時期は求人数も増え、狙い目なのですが一方で転職者も増える傾向にあります。
もちろんこれ以外の時期でも、早めに動いたほうがいいのには違いありません。
時間はあっという間に過ぎていき、後で取り返すことはできないですからね。
ライバルに遅れをとらないためにも、早めに動き出すことを心掛けましょう!
転職サイトは無料で登録できますし、使わなくなったら登録解除すればいいので、面倒でなければ複数登録しておいたほうがいいです。
そして登録したら、できるだけ早い段階で面談を受けて仕事を紹介してもらいましょう。
せっかく登録したのに、忘れてしまったら意味ないですからね。
ここでは、正社員採用に力を入れている4社をピックアップしました。
doda
「doda」と書いて「デュ―ダ」と読みます。
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正社員として働くデメリット
一点買いは危険
正社員になるということは、一つの会社に全てを捧げるということです。
もちろん副業を認められている会社もありますが、時間的にもなかなか難しいですよね。
投資で言えば一つの投資先に全額を預けるようなものです。
クビになってしまえば、収入もその会社で積み上げたものもゼロ・・・になります。
これから時代は労働もシェアする流れにどんどんなっていきます。
副業を積極的に行い、たくさんの仕事に触れておくことが将来役に立つでしょう。
責任が重い
正社員ともなると契約社員・派遣社員の責任も一緒に負う立場となり、仕事内容も経営に直結するような立ち位置での業務比重が多く責任がグンと増します。
責任のある仕事を任されて生きがいにできる方であればキャリアアップに繋げることができますが、気持ちの持ちようではデメリットとも取れるでしょう。
大手で正社員として採用されるのは難しい
固定給があり待遇にも恵まれている正社員を雇うには、企業側もかなり慎重になります。
非正規社員に比べる継続雇用にお金がかかってしまうからです。
「正社員として憧れの大手企業で働きたい」と言った夢を叶えられるのはほんの一握りの人だけです。
一方、非正規社員であれば採用のハードルが低く憧れの舞台で働ける可能性が高まります。
会社都合に合わせる必要がある
正社員の場合、異動や転勤があります。
辞令が出たら従うのが原則であり、ほとんどの会社で就業規則などにまとめられているため避けられません。
忙しい時期になると休みが取れなかったり休日出勤が必要になったりと、必然的に会社都合に合わせた人生設計が正社員には求められます。
部下の教育も仕事に含まれる
組織の一員として後輩を指導して会社の発展を担う人材を作り出すことも仕事の1つとなります。
自分だけの業績が良ければokという個人プレーは良い目で見られず、チームに有利な成果を残すためのパフォーマンス能力も重視されるため、人間関係で悩まされることも多いです。
正社員と非正規社員の平均年収と生涯収入の差
次の表は厚生労働省が平成29年に発表した労働形態別の賃金平均です。
男性の正社員・正職員であれば平均年収437.3千円であるのに対して、非正社員の場合252.0千円と大きく差をつけています。
雇用形態、性、年齢階級別賃金
さらに正社員・正職員以外は、男女いずれも曲線がフラットで年齢階級が高くなっても賃金の上昇があまり見られません。
こうした賃金格差が1年、2年、10年と続くことで正社員・非正社員の区別による生涯年収が大きく変わっていき、生涯年収の差は概算して1億5千万円以上にもなるのです!
非正規社員で続けられるのは若いうちだけってホント?
非正規社員として働けば、比較的若い段階で正社員よりも稼げると言われています。
というのも正社員の場合、残業代が出ないことも多く、残業代の高くつく非正規社員の方がお給料が一時的に上がりやすいのです。
ただ、正社員として雇われている人は年齢を増すごとに昇給・昇格をする傾向にあります。
そのため、どんどん賃金格差が生じてしまうこともあるでしょう。
ただしこれは正社員への補償がしっかりと行われる会社のみで、安定しない中小企業などはサービス残業などにより、時間あたりの給料で非正規社員に負けてしまうこともあります。
非正社員から正社員への変更は、「若くて体力があり長く働いてもらえる人材を優先したい」という企業側の思惑もあり、年齢を重ねるにつれてむずかしくなります。
非正規社員として活躍するにはタイムリミットがあると考え、先を見据えた上で非正規社員として働いた方が良いのか、正社員の道を選ぶのか考えていきたいですね。
まとめ
法律上・理論上は正社員・非正規社員といった雇用形態による給与・労働条件などの区別はできないことになっているため、正社員として働くメリットは減少していくと考えられます。
ところが現実には新しくできた無期契約社員の捉え方にしても、「雇用は保障されているが、給与が上がり、賞与も支給する既存の正社員と同じ処遇にするかどうかは企業の考え方次第」という見方が一般的で、今すぐに正社員と同じ待遇になるとは考えにくいのです。
さらに、裁判事例をみても労働契約法20条は名ばかりの法律になっていて、効力を発揮しきれていません。
今や3人に1人が非正規雇用、フリーランスも増えているこのご時世ですが、日本企業の考えが時代に追い付いていないというのが、正社員・非正社員間の格差が埋まらない問題の根底にあるのかも知れませんね。
今後より多様な働き方が認められることで、理論上だけでなく現実の社会の中でも正社員としてのメリットは減少していくかも知れません。
国を挙げた労働法制改革で今度どこまで格差が埋まるのか、働き方が変わるのか、今後の動向に注目していきたいですね。
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