高すぎて払えない!幼稚園、保育園の費用まとめ

「認可保育園に入園したくても入園できない子(待機児童)がいっぱいいる」というニュースを見たことはありませんか?
夫婦共働きが当たり前の世の中とで、子供が生まれた途端に多くの課題が発生します。

具体的に待機児童の問題を見てみましょう。
東京都の公式ホームページによると、2017年4月1日時点で待機児童は8,586人(前年比120人増)、東京都内で最も待機児童の多い世田谷区では861人となっています。

今の時代、わが子を認可保育園へ入園させることは、1990年前後のバブル期に大学受験が「受験戦争」などと表現された状況と似たような大変厳しい状態です。
中には子供が生まれた途端、認可保育園入園を目指して待機児童が少ない自治体や、認可保育園の数が多く入園率の高い自治体へ引っ越してしまうという方もいます。

ここ数年、自分の子供を希望の保育園に入園させる活動のことを就職活動の就活になぞらえ、「保活」というようになりました。

保育園、幼稚園の費用平均相場

保育園は基本的に、

  • 認可保育園
  • 認可外保育園

の2つに分かれています。

認可保育園とは、施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理などをもとに最終的には国が認可した保育園のことであり国から助成金がもらえることにより、認可外保育園と比べ毎月の保育料が安く済むというメリットがある反面、全国的にどこの自治体でも人気が高く入園が困難であるという地域も多いことがデメリットです。
※東京都や横浜市・川崎市など認可保育園ではないけれど自治体が独自に認定した認証保育所(東京都の場合であって自治体によって名称が異なる)という認可保育園と認可外保育園の中間的位置づけのものもあります

ここで注意してほしいことは、「認可を受けていないから認可外保育園はダメ。子供を預けるには怖い・危険」ということではないということです。

認可外保育園は認可保育園と比べ保育時間が長いところが多く、親のリクエスト(休日出勤による休日保育や急な保育の依頼)に応えてくれる柔軟性の高い園が多いというメリットもあります。
親の都合や考え方次第ではあえて認可外保育園を選択するということも十分考えられることです。
やっとの思いでわが子が認可保育園や希望する幼稚園に入園できたとしても、今度は保育料などの保育園・幼稚園にかかる費用の高さという問題に直面することになり、「妻のパートの収入がまるまる保育料で消えてしまった!」というような話がよく散見されます。

いったい保育園・幼稚園にかかる毎月の費用はどのくらいなのでしょうか?

では、まず認可保育園から見てみましょう。

認可保育園

認可保育園の保育料は基本的に家庭によって異なり、

  1. 世帯所得(前年住民税額によって判断)
  2. 自治体(住んでいる区市町村)
  3. 子供の年齢や人数(3歳未満の子供は割高で同時に2人以上の子供が通園する場合2人目から割引、3人目は無料など)
  4. 保育時間(延長保育を希望する場合は別途延長料金加算など)

の4つの要素から決まります。

認可保育園の保育料の決定要因が多岐にわたっているため、厚生労働省が調査した「平成24年 地域児童福祉事業等調査の結果」を見てみると、児童1人あたりの平均保育料は月20,491円で、2万~3万円未満が31.9%と最多であり、3万円未満で全体の79%となっていることから、平均的な世帯年収の家庭であれば、毎月3万円あれば子供の保育料は大丈夫と考えて良さそうです。

●参考:厚生労働省

ただし、同じ保育園でも前述したように親の世帯年収や子供の年齢によって異なり、例えば世帯年収1,000万円で子供が1歳児だと毎月の保育料が70,000円以上となるケースもあります。
また、保育園に同時に子供が2人以上通園していると、2人目の子供の保育料が半額、3人目の子供の保育料が無料などと自治体によっては割引となるケースもあります。

認可保育園=公立の保育園、無認可保育園=私立保育園と認識している方が多いですが、実は誤りで自治体から認可を受けている保育園が認可保育園であり、その中に公立保育園も私立保育園も混在しているというのが本当です。

認可外保育園

認可外保育園については、これは本当にその園が決めることなのでまちまちです。
しかし、大まかな傾向として認可外保育園の保育料の相場は認可保育園の1.3倍程度というところが多く約40,000円/月程度と考えておけばいいかと思います。

ただし、認可保育園と同様に子供の年齢が低くなると保育料が高くなることは同じなので、0~1歳児を認可外保育園に預けると100,000円/月という園もあるようなので、これから保活をするという方は、最寄りの認可外保育園の料金をしっかりリサーチすることが重要です。

幼稚園

幼稚園は保育園と異なり、子供を預ける時間が大幅に短いという特徴がよく知られていますが、保育園と幼稚園では、管轄官庁が異なり法律が違うというのが一番の違いです。

細かい話になりますが、保育園は厚生労働省の管轄で児童福祉法に基づく「児童福祉施設」となり保育士は国家資格が必要、幼稚園は文部科学省の管轄で学校教育法に基づく「教育施設」という区分で教諭免許が必要、入園年齢も保育園は0歳から幼稚園は3歳からと異なります。
よって、保育園と幼稚園の一番大きな違いは、「保育園は子供を保育する場所」であり「幼稚園は子供を教育する場所」なのです。

幼稚園によっては、放課後にお絵かきや音楽などの「時間外園内習い事」というものがあり、教育面でより一層充実させている園も多く、子供への教育を重視するという方には幼稚園に通わせたほうがメリットがあるといえます。

次に幼稚園の毎月にかかる費用の相場ですが、幼稚園の場合は保育園と異なり前述したように法律上「学校としての位置づけ」となるため「保育料は一律」(公立幼稚園の場合)です。
詳しくは後述しますが、平成26年度の実績調査(公益財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構)によると公立幼稚園の保育料は76,627円/年(入園料1,200円を含むと77,827円)となっています。

年間、月間の費用、夏休みなどはどうなる?

前述したように、保育園・幼稚園ともに毎月の保育料が必要です。

保育園

保育園の場合は、毎月の保育料に加えて入園時に指定の通園バック・体操服・お昼寝布団・文房具・食器・着替えなど園によって異なりますが、おおよそ2~3万円程度は別途かかると考えておいたほうがいいでしょう。
後述する幼稚園の場合と比べると制服がないところが多く、通園バックも使い慣れたものがあればそれ良いなど柔軟性が高い園が多いので、節約できる要素が多いと言えます。

さらに、PTA会費や遠足の費用(交通費実費など)運動会や文化祭などの行事の写真・DVDの販売などの費用で年間1~2万円程度、親の勤務時間の都合によってお迎えが保育園の定時より遅くなる場合は別途時間外保育料(園によって異なる)も必要です。

幼稚園

幼稚園は、毎月の保育料の他に入園時に保育園と異なり公立・私立関係なく入園金が必要です(金額については後述します)。

保育園と同様に、入園時に文房具などのセットを購入する必要がありますが、幼稚園の場合、制服がある場合が多く、園指定の制服・通園帽子・通園バック・体操服などが必要で、特に私立幼稚園の場合、制服がブランド物を採用していることがあるので、その場合は思いのほか高い出費となります。

また、幼稚園によっては、通園バスがあり通園バスを利用する場合は、こちらも別途毎月バス代が必要です。
さらに幼稚園も保育園と同様に、PTA会費・行事の写真・DVD代・遠足費用など別途年間1~2万円かかります。

夏休み(長期休み)について

夏休みに関しては、保育園は仕事で忙しい親をサポートする目的で保育をする場所ですので、夏休みはありません(ただし、盆休みは休園となる保育園が多い)が、幼稚園は学校に該当しますので夏休みがあります。

共働き世帯では幼稚園の子供が、夏休みがあるという状況は本当に困るのですが、実は、多くの幼稚園で夏休み期間中でも夏期保育・預かり保育を実施しています。
ただし、別途1,000円/日程度の料金が必要となり仮に30日間利用すると別途30,000円/月の費用が必要です。

このように、いわゆる幼児の夏休み問題もあり、一般的に共働き世帯では認可保育園へ子供を通わせたいというニーズが強いため、認可保育園が人気となっている理由の一つです。

公立、私立による違い

前述したように、認可保育園の場合は、公立・私立関係なく保育料金の違いはなく自治体が世帯個別に決定します。
※ただし、制服お道具セットなど私立のほうが凝っているものを使う傾向があるので、この部分だけは公立と私立で料金の差が発生する傾向があります

問題は幼稚園で、実は公立と私立で大きな料金の差があります。

幼稚園場合

幼稚園の保育料の相場を公益財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構が公表している平成27年度の全国平均は、

  • 公立幼稚園76,627円/年(入園料1,200円別、※数値は平成26年度のもの)
  • 私立幼稚園270,320円/年(入園料52,809円別)

で、1ヶ月平均を単純に12で割ると、

  • 公立幼稚園約6,386円/月
  • 私立幼稚園22,527円/月

となり、私立幼稚園の保育料は公立保育園の約3.5倍です。

ただし、私立幼稚園の場合、入園後はよほどの事情がない限り大学までそのまま進学できる、独自の教育方針により躾や礼儀作法など幼児の頃からしっかり身につけさせてくれる、などを優先事項と判断される方もいます。

費用の内訳

保育園と幼稚園の費用を見てきましたが、ここで費用の内訳をまとめてみましょう。

保育園の場合

  1. 保育料
  2. 給食費(認可保育園の中には保育料に含まれている園もあり、園によっては主食のお米・パン代のみ徴収、決められた分量のお米の現物を定期的に園へ納めるなどまちまち)
  3. 入園時の物品購入費
  4. 延長保育料(希望者のみ)
  5. 園外活動費

幼稚園の場合

  1. 保育料
  2. 給食費(弁当制の場合は不要)
  3. 入園時の物品購入費
  4. 園外活動費
  5. 夏季保育料(希望者のみ)
  6. 時間外園内習い事費用(希望者のみ)

となります。

補助金

保育園・幼稚園にかかる費用が高すぎて保育料の支払いだけでも大変だ!という世帯もあると思いますが、ここで検討したいのが「補助金」です。

基本的に生活保護受給世帯や低所得世帯などの住民税非課税世帯の子供が認可保育園へ通う場合は、自治体によって保育料の減免や免除といった制度があり、認可保育園に入園できず無認可保育園へ入園した場合には、自治体によって補助金があります。

親の所得や子供の年齢により金額は変化しますが、おおむね5,000円/月~30,000円/月程度受給できる場合が多いようです。

幼稚園

幼稚園に関しては、前述したように法律上学校という位置づけであり保育料は基本的に一律となっていますが、公立と私立で保育料額が大きく異なり公立保育園に入園できなかった所得が低い世帯だと幼稚園の保育料がより一層重荷となってきます。

この公立幼稚園と私立幼稚園の保育料などの差額に対応するため、

  1. 「就園奨励費補助金」(国の補助金)
  2. 「保護者負担軽減補助金」(各自治体の補助金)
  3. 「私立幼稚園等入園料補助金」(各自治体の補助金)

の3つ(いずれも私立幼稚園の園児が対象で公立幼稚園の園児は対象外)がありますので、まずはお住まいの自治体の役所へ相談に行ってみることが必須です。

では、具体的にこれらの補助金がどのくらいもらえるものなのか?
東京都文京区の場合を調べてみると、親の前年住民税所得割額や子供が何人目の子供なのかにより異なってきますが、

  • 私立幼稚園等入園料補助金:一律30,000円(入園時一回のみ)
  • 就園奨励費補助金:0円(対象外)/年~308,000円/年
  • 保護者負担軽減補助金:0円(対象外)/年~164,400円/年

となっています。

制度の仕組みから、年収1,000万円を超えるような高所得世帯だと補助金も0円(対象外・ただし第二子以降であれば就園奨励費補助金はもらえる)となりますが、補助金受給額の高い安いはともかくとして、低所得世帯のみならず一般的な世帯でも補助金がもらえます。

戻ってくるお金

前述した私立幼稚園に通う子供を持つ親が対象の就園奨励費補助金と保護者負担軽減補助金(いずれも各自治体の補助金)については、前年度住民税所得割額により次年度に支給される補助金の額が決まり、補助金の申込は通園している幼稚園を通じて申込みます。

これがよく「幼稚園の保育料が戻ってきた」と言われるお金に該当するもので、お伝えしてきたように、保育料が戻ってきたわけではなく「申請した補助金の支給があった」ということなのですね。
自治体にもよりますが、一例としてご紹介した東京都文京区の場合だと就園奨励費補助金と保護者負担軽減補助金の2つを年2回に分けて交付する支給制度となっています。

まとめ

今回は保育園・幼稚園にかかる費用をお伝えしました。

今の時代、保活は本当に大変ですが、せっかく生まれたてきてくれたわが子を出来るだけ良い保育・教育環境で育てたいですよね。

子供が小学校へ進学するまで本当にお金がかかりますが、お伝えしてきたように認可保育園に入園できれば世帯所得に応じた保育料が設定されますので、毎月の保育料に困ることはさほどないはずですし、保育料が一律である公立幼稚園でもかなり割安な保育料の設定がされている自治体が大半です。
万一、認可保育園や公立幼稚園に入園できなかったとしても、お伝えした各種補助金をフル活用しましょう。

お金と親の働く都合があるとしても、子供に対してどの選択(保育園か幼稚園か?どの園に入園させるか?など)が最良なのか考えていきたいですね。

 



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