東海道・山陽新幹線がモバイルSuicaやiPhoneでも利用可能に!スマートEXまとめ
(この記事は2017/11/05に更新されました)
この記事に書いてあること
スマートEXとは?
東海道・山陽新幹線を便利に利用する方法として、これまでチケットレス乗車サービスの「エクスプレス予約(EX-IC)」と「プラスEX」の2つがありましたが、2017年9月末から「スマートEX」という新しいチケットレス乗車サービスが加わります。
スマートEXのサービス内容は、エクスプレス予約と同様に最初にネット上で会員登録する必要がありますが、Suicaなど既存の全国相互利用対象の交通系ICカード(Suica・PASMO・TOICA・manaca・ICOCA・PiTaPa・SUGOCA・nimoca・はやかけん)で東海道・山陽新幹線に乗車できるというとても利便性に優れる乗車サービスで、対象区間は東京~博多間です。
しかも、エクスプレス予約・プラスEXとは異なりスマートEXの年会費は完全無料であること、乗車料金の支払いは、VISA・MASTER・JCB・AMEX・ダイナースクラブの国際ブランドのクレジットカードが利用できますので、ほぼすべてのクレジットカードが対象となったことで、手持ちのクレジットカードで利用できるという利便性の高さが大きな特徴といえます。
スマートEXのメリット・デメリット
既存のサービス(エクスプレス予約・プラスEX)とスマートEXを比較して、メリット・デメリットをみてみましょう。
メリット:年会費無料
手持ちの交通系ICカードと手持ちのクレジットカードの組み合わせで気軽に利用でき、しかもスマートEXの年会費は完全無料という利便性が非常に高い点です。
これまでも、JR東日本の新幹線(北海道・東北・山形・秋田・上越・北陸新幹線)は、モバイルSuicaでお得に乗車できていましたが、東海道・山陽新幹線もスマートEXの登場でようやく利便性が向上します。
エクスプレス予約・プラスEXにおいては、特定のクレジットカードの入会が必要であること、クレジットカードの年会費以外にもエクスプレス予約・プラスEXともに年会費が有料であるなど東海道・山陽新幹線を年に1回利用するかしないかの方にとってハードルが高い乗車サービスでした。
また、プラスEXは東京~新大阪間のみと対象区間が限定されていましたが、スマートEXはエクスプレス予約と同様に東京~博多間と東海道・山陽新幹線のフル区間が対象区間となります。
「東海道・山陽新幹線はたまにしか利用しないけど、新幹線乗り場の券売機やみどりの窓口の行列に並ぶのは面倒だし、事前に旅行代理店で買うのもスケジュール変更などが心配」という方にはうってつけの乗車サービスといえますね。
メリット:乗り換えの利便性
2つ目のメリットは東海道・山陽新幹線と在来線の乗り換えが、より一層便利になることです。
具体的には、東海道・山陽新幹線乗車時に新幹線の自動改札機にSuicaなどの交通系ICカードをかざして入場、到着駅で在来線乗り換え口の自動改札機に同じSuicaなどの交通系ICカードをかざして在来線へ乗車、在来線の最終目的地駅の自動改札機に同じSuicaなどの交通系ICカードをかざして出場と、すべて一枚の交通系ICカードで済んでしまいます。
この時の支払いに関しては、在来線乗車券のみSuicaなどの交通系ICカードの残高から支払い、東海道・山陽新幹線特急券・乗車券は登録したクレジットカードでの支払いとなりますので、新幹線の乗車するためいつもより多くの金額をSuicaなどの交通系ICカードにチャージする必要はありません。
メリット:クレジットカードのポイントが貯まる
3つ目のメリットは、ほとんどのクレジットカードで決済できるようになるため、普段メインカードで貯めているポイントやマイルを東海道・山陽新幹線の乗車時でも貯めることができるようになることです。
ちなみに、プラスEXにおいては、プラスEXが紐づくクレジットカードのポイントが貯まりますので共通ポイントやマイルを貯めることが出来ていましたが、プラスEXの対象区間は東京~新大阪間のみでしたので活用できる場面は限定的でした。
デメリット:割引特典がない
次にデメリットですが、スマートEXはエクスプレス予約・プラスEXと異なり割引特典が一切ないことです。
実は、2017年8月下旬時点でもスマートEXの細かいサービス概要が公式に発表されていませんが、
- 利用できるクレジットカードと交通系ICカードで利用可
- スマートフォン、パソコン等から簡単な操作で予約
- 料金は駅とほぼ同じ価格
の3点のみ事前に公表されていています。
「料金が駅とほぼ同じ価格」ということは、「お得な割引特典がほぼない」ということですので、料金の割引特典がほぼないことがスマートEXの一番のデメリットですね。
具体的に2017年8月時点での東京~新大阪間の普通車指定席片道料金を、「エクスプレス予約」と「スマートEX(の料金となると思われる通常価格)」を比べてみると、
- エクスプレス予約(通常割引率):13,370円
- スマートEX(通常料金):14,450円
と、東京~新大阪間の片道だけで1,080円の差額が発生します。
往復だと2,160円もの差ができてしまう。ということです。
iPhoneのApple payでモバイルSuicaを利用してみた
1,あらかじめWEB上で会員登録を済ませた状態でアプリをダウンロードします。
3,自由席、指定席、グリーン席から選択し、座席を決める(窓側、通路側などの選択のみも可能)
4,予約確定すると予約一覧から確認でき、発車時刻の4分前までであれば手元のiPhoneから何度でも変更可能
在来線から新幹線の乗り換えも、わざわざ発券機に並ぶ必要も無く、在来線の切符を入れた後にiPhoneをタッチするだけで改札を通れます。
日本のスマホシェア約50%と圧倒的なシェアを誇るiPhoneですから、スマートEXに対応することで、多くの人にとってメリットがありますから要注目ですね。
2017年9月2日からエクスプレス予約が新しくなった
「スマートEX」との比較対象として既存のチケットレス乗車サービスの「エクスプレス予約」・「プラスEX」を取り上げてきましたが、実は、エクスプレス予約とプラスEXが統合されて2017年9月2日から新しいエクスプレス予約がスタートしました。
新しいエクスプレス予約の新規サービス概要は、
- 往復割引商品の新設(1~6名分までの東京~広島以西間など片道601km以上の長距離区間を一括で往復行程を一括購入することで更なる割引、特急券のみのe特急券も対象)
- 早得商品を一新(EX早得・EX早得21・EXグリーン早得・EXグリーン早得・EXのぞみファミリー早得・EXこだまファミリー早得の6種類)
- 基本商品の変更(EX-ICサービス・EXきっぷをEX予約サービスへ名称変更)
- 切符発売開始日(乗車日の1ヶ月前)のさらに7日前から事前申込が可能となるサービス開始
- セキュリティ強化(ワンタイムパスワード通知メールの導入・9月末より予約サイトへのログインパスワードを英数記号(4~8桁)でも登録可)
の5つとなっています。
統合されるとはいえ、新しいエクスプレス会員入会時のルートはこれまでと同じ2つのままで、
- JR東海のエクスプレスカード・JR西日本のJ-WESTカード(エクスプレス)入会によるルート(旧エクスプレス予約と同じ)
- 旧プラスEXカードが発行できるクレジットカードに入会しカード会社に別途エクスプレス会員に申し込むことで会員になるルート(旧プラスEXと同じ)
となります。
統合後の新しいエクスプレス会員になるための入口は旧来のままで、入会後の会員名称はエクスプレス会員に統一され、年会費や特典サービスなどは新しいエクスプレス会員のものが適用されるという仕組みです。
つまりこれからは、①・②のどちらの入会ルートで入会しても「エクスプレス会員」となります。
ただし、②の旧プラスEX会員のルートから新しい統合後のエクスプレス会員になった場合は、プラスEX会員の時と同様にグリーンプログラムが適用外となるので注意が必要です。
次に既存の旧エクスプレス会員と旧プラスEX会員の方が、2017年9月2日以降どのように変わったのか詳しくみていきましょう。
既存エクスプレス予約会員は新サービス移行だけの変化となりますが、既存プラスEX会員の場合は、これまでプラスEX年会費540円(税込)だったものがエクスプレス予約会員へ強制変更となりますので、年会費が1,080円(税込)と既存エクスプレス予約会員の料金に合わせる形になるため値上げとなります。
ただし、救済処置として2017年9月2日より前に入会した旧プラスEX会員のみ1年間限定で、エクスプレス予約会員の年会費はプラスEXと同額の540円(税込)となります。
既存プラスEX会員の方にとって年会費は値上げとなりますが、利用区間が東京~新大阪間に限定されていたものが既存エクスプレス予約会員と同じ東京~博多間と東海道・山陽新幹線のフル区間を利用できるようになりますし、割引率も既存エクスプレス予約会員と同率(東京~新大阪間片道で通常料金より510円引き→1,080円引き)となりプラスEX会員時よりもさらにお得になりますので、大きなデメリットはないと考えますし、状況によってはメリットとなる場面も出てきます。
特に、東京から新神戸以西の区間まで東海道・山陽新幹線を利用する場合、これまでJR東海のエクスプレスカード・JR西日本のJ-WESTカード(エクスプレス)・JR東日本のビューカード(提携カードも含む、年会費実質無料のモバイルSuica会員入会の上ビュー・エクスプレス特約入会が必要)といった特定のクレジットカード入会の上、エクスプレス予約会員に入会することで、ようやくお得に新幹線を利用でき、かつ各種クレジットカードのポイントが貯まるという流れでしたが、既存プラスEX会員の場合は、プラスEXが紐づいているクレジットカードのポイントが貯まっていくことになります。
(ただし、前述したように旧プラスEX会員と同じ入会ルートにて入会の新しいエクスプレス会員と既存のプラスEX会員の方は新しいものエクスプレス会員へ統合後もグリーンプログラムのポイントは引き続き対象外となります)
前述したスマートEX同様に、東海道・山陽新幹線に乗車することで普段貯めているポイントやマイルを獲得することができるようになりますので、ポイントやマイルのことまで考えると今回のエクスプレス予約とプラスEXとの統合は、デメリットよりもメリットのほうが大きいといえますね。
スマートEXと新エクスプレス予約の比較
あらためて、スマートEXと統合後のエクスプレス予約を比較してみると、
- Suica等の交通系ICカードと東海道・山陽新幹線乗車専用ICカード
- 年会費無料と年会費有料(税込1,080円・2017年9月2日より前に入会した既存プラスEX会員のみ最初の1年だけ税込540円)
- 割引特典の有無
- グリーンプログラムの有無(旧エクスプレス予約会員の入会ルートにて入会した新エクスプレス会員のみグリーンプログラム対象)
- 支払いに登録可のクレジットカード
という違いがあります。
このように、スマートEXはほぼ通常価格となりますが、一方、新しいエクスプレス予約は約7.5%の割引特典を最低ラインとして受けることができますし(早得サービスを利用すると割引率はさらに大きくなりIC早得21で約23.9%の割引率)、旧プラスEX会員の入会ルートにて新しいエクスプレス会員になった場合、対象クレジットカードが多いため大半の方が手持ちのクレジットカードで利用できるようになることにより、利便性は大幅に向上し前述したように普段貯めているポイントやマイルを東海道・山陽新幹線を利用時においても貯めることができます。
登録可能なクレジットカード
スマートEX
ほぼすべてのクレジットカード(国際ブランドがVISA・MASTER・JCB・AMEX・ダイナースクラブ)
エクスプレス会員(旧エクスプレス予約会員の入会ルートから入会)
ビューカード(モバイルSuica・ビュー・エクスプレス特約必須)・エクスプレスカード・J-WESTカード(エクスプレス)
エクスプレス会員(旧プラスEX会員の入会ルートから入会)
JCB・三井住友カード・三菱UFJニコス・イオン銀行・アメリカン・エキスプレス・セディナ・三井住友トラストクラブ・トヨタファイナンスが発行しているクレジットカード
新幹線をお得に利用するオススメ方法
エクスプレス予約は割引率も大きくプラスEXとの統合により対象クレジットカードも多くなったため、2年に1回程度しか利用しない方でも旧プラスEXの入会ルートからエクスプレス会員に入会することをおすすめします。
(入会ルートは以前と同様に2つありますが入会後は全て「エクスプレス会員」となります)
エクスプレス予約会員の年会費は税込1,080円ですが、2年に1回東京~新大阪間往復利用すればエクスプレス予約会員の年会費と割引額が同額となりますので、東京~新大阪間で限定すればこの利用頻度が損益分岐点となりますし、東京から新神戸以西への利用が2年に1回でもあれば、もうその時点でエクスプレス予約会員のほうがお得となります。
東海道・山陽新幹線は3~4年に1回程度しか利用しないという方には、スマートEXのほうがおすすめとなります。(最長の東京~博多間の通常割引率から算定)
・東京~博多間(片道・普通車指定席)エクスプレス予約通常割引1,630円引き、往復利用だと3,260円引き
逆に、国内出張が頻繁にあるなどの理由で東海道・山陽新幹線の利用頻度がかなり高い方で、グリーンプログラムの貯めたポイントの特典でたまにはグリーン車指定席を利用したい方には、エクスプレスカード・J-WESTカード(エクスプレス)・ビューカード(提携カードも含む、年会費実質無料のモバイルSuica会員入会の上ビュー・エクスプレス特約入会が必要)に入会が必要な(旧エクスプレス会員入会ルート)エクスプレス予約会員がおすすめです。
さらに九州・北陸新幹線も頻繁に利用するという方には、九州・北陸新幹線も割引特典が発生するJ-WESTカード(エクスプレス)入会からのエクスプレス予約会員がおすすめです。
まとめ
2017年9月末の段階で東海道・山陽新幹線のチケットレス乗車サービスは、プラスEXと統合された新しいエクスプレス予約とスマートEXの2つに再編されることになりますが、入会ルートや会員条件の中身からするとチケットレス乗車サービスが1つ増えた形となります。
- 新エクスプレス予約【旧エクスプレス予約と同じ入会ルート(グリーンプログラム適用)・旧プラスEXと同じ入会ルート(グリーンプログラム適用外)】
- スマートEX
より便利でお得に東海道・山陽新幹線を利用する選択肢が増えたことになりますので、利用者にとって、これは本当にいいことだと思います。
Apple payのSuicaがスマートEXでの利用の可否が気になるところですが、スマートEXは割引特典がなく、プラスチックカードのSuica等の交通系ICカード利用を主に想定していることからも、2020年東京オリンピックを見据えた外国人観光客向けサービスであるというJR東海・西日本の思惑も透けて見えてきます。
そもそもApple payのSuicaが利用可能となっているFeliCaチップ搭載も日本専用モデルのiPhoneのみということからも、今回のスマートEXのApple payのSuica連携も期待薄と推察できますし、お伝えしてきたように年に1回でも利用すればお得となる強力な割引特典があるため、基本的にはエクスプレス予約がオススメです。