試用期間で辞めたいけど言えない!退職するためにはどうすればいい?

ストレスを抱える男性の画像

就職試験や面接を受けて採用が決まれば実際に就労するわけですが、雇用主は労働者を「本採用」する前に「試用期間」という「お試し期間」を設けます。
期限の定めは明確にはありませんが、多くの企業が1~3カ月ぐらいで設定しており、最長で1年までという決まりがあります。

「試用期間」の間は、面接の時などに取り決められたお給料よりも少し低いお給料で働くことになります。

その「試用期間」の間は雇用主側はその人材の能力や勤務態度などをしっかりと評価することができ、労働者側も本当にこの仕事を長く続けていけるのか?自分にこの仕事は合っているのかを判断するのにちょうどよい期間です。

ただし、いくら「試用期間」といっても、雇用者側は雇用した労働者の能力が思ったより低く使い物にならなかった、期待していたほどのスキルはなかった、などという理由で、簡単にその労働者を解雇することはできません。

例えば

  • 勤務態度が悪く注意しても直らない
  • 遅刻や欠勤が多い
  • 無断欠席、協調性がなく他の従業員や取引先と大きなトラブルを起こした
  • 出勤率が90%に満たない

などの解雇にも値する正当な理由があれば、即刻解雇!なども認められる可能性があります。
ですが、通常であれば解雇をする前は少なくとも退職日の30日以上前に本人に解雇予告をするか、もしくは直近3カ月の給料の平均の1日文の賃金×30日分以上の「解雇予告手当」を支払わなければならないと法律で決まっています。

では労働者側はどうでしょうか?




試用期間中に辞めるのは非常識?

試用期間中も例外ではなく、正当な理由がない場合は30日以上前に解雇予告をするか、30日分以上の解雇予告手当を支払われなければならないので、その日に「今日で辞めてくれ」と言われてもそれは「不当解雇」に該当します。

また、労働者側も「なんとなく自分には合わない」などの正当な理由とは認められないような理由で試用期間中に簡単に辞めることはできません。

必ず通常の退職時と同じように、労働基準法で定められた「退職予定日の2週間前までに退職を申し出る」ことになっていますので、その日の朝に「今日で辞めます」なんてことは、なかなか認められないでしょう。

ただし、さきほど雇い主側は30日以上前に解雇予告をするか30日分以上の解雇予告手当を支払う義務があるというように言いましたが、「試用期間」にはちょっとしたカラクリがあり、「雇用して最初の14日以内であれば解雇予告や解雇予告手当なしに即日解雇ができる」という事になっています。

会社側にとっては「試用期間」とは、その人の能力、スキルや勤務態度を評価、判断する大切な期間です。
試用期間中であれば、本採用後に解雇するよりは簡単に解雇できるという事実があります。

逆に言えば、労働者側も本採用後に退職を申し出るよりも試用期間中にさっさと退職を申し出る方が簡単に退職させてもらえる可能性があるということです。

もちろんむやみやたらに雇用主側はこの試用期間中に労働者を解雇をしてはなりませんし、正当な理由なくして労働者側も簡単に退職を申し出るようなことは常識的にはタブーです。

ですが、どうせいつか辞めるだろうな…と思いながらずっとその会社に居座り続けるのも会社にとって失礼な話です(その間に会社はあなたがおいおいは退職したいと考えていることなどは全く知らず、あなたを使える人材に育て上げようとしっかり新人教育に力を注いでくれているはずですから)。

本採用前の使用期間中に、自分にはここの仕事は長く続けられそうにないと判断した場合は、なるべく早めに退職を申し出る方がお互いにとって良いのではないかと思います。

ですので、試用期間中に退職を申し出るなんて非常識かしら?なんて思わないでください。
むしろ、雇用期間を過ぎて本採用されたあとに「実は…」と退職を申し出る方がよっぽど会社にとっては時間と労力のロスになってしまいます。

試用期間とは、雇用主側も労働者側も、お互いを見極める期間なのです。
ただし、試用期間中に退職を申し出る際は、退職理由に少し気を付けましょう。

このことについては第3章「試用期間中の退職理由はどうすればいい?」で詳しく触れていきます。

やめることのメリット

まず、試用期間中で退職した場合のメリットを考えてみましょう。
実は、試用期間中に退職した場合は、履歴書の職歴の欄にそのことを記入する必要がないというメリットがあります。

もし短期間で前の職場を退社したり職を転々としているような人がいれば、書類選考でハネられる確率も上がってしまいます。
すぐやめてしまうような人を採用するメリットは、どこにもありません。

ただし試用期間中であっても雇用主は労働者を社会保険などに加入させる必要があります。
社会保険などの事務作業の際に使用期間中に退職したことは新しい会社にはわかってしまいますが、それを履歴書に記載していなかったからといって罰せられることも経歴詐称にあたるといったこともありません。

また、面接や会社説明会だけではその会社の本当の姿は見えません。
実際に働いてみないと見えないこと、わからないことはたくさんあるでしょう。
採用され実際に働き始めたはいいけどとんでもないブラック企業だった、なんてこともザラにあるでしょう。

入社してみて実はブラックだった!というような場合は、さっさと試用期間内に退職してしまえば無駄に体力と精神をすり減らす必要もありません。
他にはさっさと見極めて試用期間中に退職してしまえばそれだけ早く次の職探しに時間を割けます。

転職には、「年齢」というボーダーラインがあります。
20代で転職する人と30代になって転職する人、どちらが有利でしょうか。
前者が有利に決まっています。

ダラダラズルズルと無理矢理その会社で働くよりも、ささっと試用期間内で退職してしまえばその後の時間を有利に過ごすことができるのです。

やめることのデメリット

では、反対に、試用期間中に仕事を辞めることのデメリットには何があるのでしょうか。

まず、前の職場を辞めてすぐ新しい職場に入って試用期間中に退職する場合はそのスパンが短いのでさほど問題にはなりませんが、人によっては前の職場を辞めて次の職場に転職し試用期間中に退職しまた次の新しい職場に入るまでに数カ月の無職状態が続く場合があります。

無職である期間が長ければ長いほど、就職活動、転職活動には不利でしょう。
そのあたりがデメリットになってくる可能性はありますね。

そして新しい職場の面接の際に面接官になぜ無職の期間がこんなにあるのか?と聞かれた場合は、正直に前の職場を試用期間中に辞めたことを話す必要があります。
履歴書に書く必要はありませんが、おそらく面接官は絶対と言っていいほどこの空白の期間(無職)何をしていたのか、何があったのか、聞いてきます。

私もうつ病になり退職したあと半年間無職状態が続きましたが、行く先行く先で必ず聞かれました。
「○○○社を退職したあと半年間無職か~…ふんふん。」などと履歴書を見ながら、ひとりごとのようにつぶやく面接官もいましたが、そんな面接官は稀でした。

だいたい聞いてきます。
「何してたの?」
「この半年間どうしたの?」
聞かれた際は、正当な理由があって前の職場を試用期間中で辞めたということを正直に話す必要があります。

つまり、履歴書には書かなくても経歴詐称にはなりませんが、面接で試用期間中で辞めたことを、正直に話さざるを得ない、ということです。

他には、試用期間中にあっさりと簡単に辞められるということを一度身をもって体験してしまうと、そのあと自分に「辞めグセ」が付く(かもしれない)というところがデメリットでしょうか。
ピタッと一発ではまるような良い職場に出会えればよいですが、そうでなかった場合「我慢をする」ことより先に「試用期間中に辞める」ことの方が先に脳裏をよぎるようになるでしょう。

試用期間中の退職理由はどうすればいい?

企業が人材を募集する際には、ただハローワークや地元の新聞の折り込み広告に求人情報を載せればよいというわけではありません。
1人新しい人材を採用するためだけに、実はかなりお金がかかってしまうのです。

せっかくお金と時間をいかけて書類選考や面接をしてやっとあなたを採用したのに、あっさりと辞められては正直会社側も割に合いません。
ですので、試用期間中に退職する場合、なるべく過度の立たないように退職を申し出る必要があります。

できるだけ会社側に不快感を与えないように、「社風が合わない」や「給料面で不満がある」や「仕事がつまらない」や「他の従業員とうまくいかない」などというその会社っや仕事自体を否定しかねないような理由付けはなるべく避けましょう。

日本語には「本音と建て前」という言葉がありますが、まさに試用期間中に退職を申し出る時にこそ、この「本音と建て前」を使い分ける必要があります。
本音の部分では「想像していた会社や環境、仕事内容ではなかった」という場合も、できるだけ慎重に言葉を選び言い換えていく必要があります。

「その会社や仕事内容がどうこうだから」という理由付けよりも「自分(私)には幅が広すぎてとうてい手におえそうもない」「私には務まりそうもない」などと、「自分」を理由にした方が良いでしょう。

ただ、私は2つ前の職場を「私」を理由にして入社後1か月と少しで退職しました。
明確に試用期間と言われたわけではないですが、普通に考えると入社後1か月そこそこですとまだ試用期間が明けてないぐらいでしょう。

本当は、社長の考え方が極端すぎてその会社に骨をうずめる覚悟ができなくなったというのが退職理由でした(社長はある社員のA君を他の社員と結託して徹底的にいじめ倒していました。その人をいじめて退職に追い込むことが目的ではなく、「精神的に上から押さえつけて何も言えないようにして一生低賃金でこき使うこと」がその社長の目的でした)。

その理由を話すと、おそらくものすごい角が立つんだろうなぁ、死ぬまで恨まれるんだろうなぁ…と思ったので、「私には作業内容がきつすぎて合わないと思うんです。」
「数年前うつ病になったのですが、最近ちょっと症状もまた出てきまして、大変申し訳ないのですが退職をさせてください」というように理由付けしましたが、それはそれでひどく社長や奥さんにイヤミを言われて終わりました。

ですので、正直に退職理由を話そうがオブラートに包んで、言葉を選んで選んで退職希望を申し出ようがなんだろうが、結局は円満退社などありえないのだとその時身をもって感じました。
その職場への就職を仲介してくれた友人のメンツをつぶすようなことをしてしまいましたが、そこにいたら今私の精神状態はボロボロになっていたと思います。

ちょっと話が脱線してしまいましたが、試用期間中に退職を申し出る際は、かなり慎重に言い方や言葉を選ぶ必要があります。
ただし「自分にこの仕事はできそうにない」というようなことが理由なら、会社側は「それならしっかりフォローして教育するから!」などと引き留めてきそうな気がしますが、あなたの退職したいという強い希望があれば、それを無理矢理引き留めるわけにもいかないでしょう。

会社側としても一刻も早く次の人材を雇いたいと思います。
「自分」を理由にしても円満退社は望めないかもしれません。
しかし「会社や従業員や社風」などを理由にして辞めて行くよりは、まだマシなはずです。

寿退社でさえ裏ではどう思われ何を言われているかわからないのです。
「円満退社」などは叶わぬ幻として心得ておきましょう。
試用期間中に退職を申し出る際は、必ず謝罪の言葉も忘れずに。

試用期間中に退職する流れ

試用期間中に退職するためには、まずは退職理由をしっかりと固めておきましょう。
どんなに言葉を選んで言い回しを変えようが、誰かが退職したいと言ってきた時には相談された上司もなかなかいい気分はしません。
慎重に言い回しや言葉を選んでおきましょう。

そして、メールやLINEなどで退職したい旨を伝えることだけは絶対に避け、上司に「相談したいことがある」と事前に時間を作ってもらえるようにお願いしておきましょう。

退職に関する相談などは時間がかかる話し合いになる可能性もあるので、事前にメールやLINEでアポを取っておくと良いかもしれませんね。

できれば周りの人に聞かれないようなプライベートな空間で話し合いができるようにお願いしておきましょう。
上司にアポを取り、しっかり退職理由を固めておくこと。
試用期間中に退職するための流れはそれだけです。

せっかく採用してもらっても試用期間中に早々と退職を願い出るのですから、自分を採用してくれたことに対しての感謝の言葉や謝罪の言葉は必ず忘れないようにしましょう。
快く退職希望を受け入れてもらえるかどうかはわかりませんが、いずれ辞めるかもしれない…と思いながらダラダラと働くぐらいなら、試用期間中に辞めるなんて非常識かも?と躊躇している暇はありません。

せっかく採用されたのにすぐ退職してしまうのはもったいない気もしますが、次こそはあなたにピッタリの素敵な職場を見つけられるといいですね。

 

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