消費者金融でお金を借りようとする場合、年収に応じた融資制限があります。
俗に「総量規制」と呼ばれるものです。
年収を基準にした規制なので何らかの方法で年収を確認する必要がありますが、その方法として収入証明書を確認しているのです。
審査では信用情報機関に照会しているため、収入証明書がなくてもわかるのではないかと思われるかもしれません。
しかし、信用情報機関のデータは今までのクレジットカードやカードローンなどの利用や返済状況だけです。
また、人の年収は毎年変わります。
消費者金融によっては収入証明書の提出をしてもらうためにキャンペーンをしていることもあります。
この記事に書いてあること
総量規制とは?
このように消費者金融には総量規制という融資制限があります。
総量規制の内容は、年収の3分の1以上の無担保融資をさせないというもので、貸し過ぎを防止しようということです。
ただし、この規制は消費者金融を規制している貸金業法の規制なので、銀行などは対象外です。
また、個人の生活資金を目的とした借入に限定されているため、最近増加している事業用のカードローンは適用外です。
しかし、この規制を守るためことは非常に難しいです。
なぜなら、3分の1という制限が、ひとつの消費者金融だけではなく、他の消費者金融の無担保融資との合計額で判定するためです。
もっとも、消費者金融の申込の際には、信用情報機関への登録を義務付けられており、承諾しないと申し込みができないようになっています。
そのため、少なくとも他の消費者金融や信販会社にいくら借りていたり、カードローンの与信枠がどの程度あったりするかは把握することができます。
ただし、先ほど述べたとおり収入まで信用情報機関では登録していませんし、年収自体が毎年変動します。
そのため年収を自己申告してもらう必要がありますが、確実に数字を把握するには収入証明書を提示してもらう必要があります。
この総量規制は、銀行が適用除外になっていることからザル法だといわれることがあります。
もっとも、この法律が最初に適用された際には銀行系カードローンは金利が低い代わりに審査が厳しく、今ほど消費者金融も危機感を持っていませんでした。
しかし、最近はネット銀行が、大手消費者金融並みの最高金利でリスクの高い人に対しても融資ができるようになりました。
従来は消費者金融でしか借りることができなかった派遣の仕事をしている人なども銀行系カードローンの審査に通るようになったのです。
総量規制をどうするかは、政府内でも検討がされているようです。
収入証明書とは?
収入証明書とは1年間でいくら支払っているかを証明する書類のことを言います。
給与収入がある人ならば、会社で源泉徴収票をもらっているでしょう。
これが収入証明書になります。
自営業として働いている個人事業主の方であれば、確定申告をしているはずなので税務署で証明書を発行してもらうことになります。
銀行や消費者金融で借入の申込をする場合は、基本的にこれらの収入証明書が必要です。
また、給与収入のある人の中には、医療費が多くて確定申告をすることで控除をしてもらっている人もいるでしょう。
このような人は確定申告書に源泉徴収票を貼り付ける必要があるため、手元に源泉徴収票がありません。
このような人も税務署で証明書をもらう必要があります。
ちなみに税務署での証明書ではなく、市町村から送られる「市民税・県民税決定通知書」でも収入証明書として使うことができます。
銀行で住宅ローンを借りる際には、源泉徴収票では偽造されている可能性があると思われるのか、この「市民税・県民税決定通知書」を要求されます。
貸付金額が1000万円単位なので銀行側も慎重になるのでしょう。
収入証明書なしで借りれる方法はある?
このように金融機関でお金を借りる際には収入証明書の提出が必要です。
しかし、貸付金額が少額の場合にもいちいち収入証明書が必要だというと、手続が面倒になります。
人によっては源泉徴収票などを紛失している人もいるでしょう。
源泉徴収票は会社に頼めば再発行してもらえますが、必ず理由を聞かれます。
消費者金融でお金を借りると言うと会社によっては上司に呼び出されて説教を受けることがあります。
ただでさえ、職場への在籍確認の電話を省略できないかと考えている人が多いのにわざわざ会社に申請をする人は少ないでしょう。
このような事情があるため、少額の借入であれば収入証明書の提出を省略することができるようになっています。
ただし、この「少額」という範囲は、消費者金融や信販会社と銀行では違いがあります。
消費者金融や信販会社では借入金額が50万以下で、かつ他の借入先との合計金額が100万円以下の場合に省略できます。
言い方を変えると信用があり、100万円を超える貸付限度額をカードローンでゲットすると収入証明書が必要になるのです。
これに対し、銀行はもっと大きな金額まで収入証明書を省略できる場合が多いです。
ほとんどの銀行系カードローンは、300万円までの借入であれば収入証明書を要求しません。
銀行によっては500万まで収入証明書が不要としているケースもあるほどです。
ただし、この規定をよく読むと小さな字で「場合によっては収入証明書の提出をお願いすることがあります」というような文言が出ています。
個人事業主の方などは収入証明書の提出を要求している場合が多いようです。
では、収入証明書の提出を省略している金融機関はどのようにして収入を判断しているのでしょうか。
特に総量規制がある消費者金融などは融資制限の判断ができないはずです。
しかし、このような場合は申込書に書かれている内容を基本的に信用して審査をしています。
全く働いていないのに収入があると書いてくる人もいるため、在籍確認でカバーすることになりますが、働いている人ならば多少の収入額の誤差は気にしないわけです。
銀行も消費者金融も勤務先や年齢から年収の予測はだいたい付くものです。
数限りない申込者の審査をしているわけですから、統計的に判断できるのでしょう。
審査では収入額を重視していないわけではありません。
申込書にあまりに多すぎる金額を書いてくる人に対しては、実際に収入証明書を提出させることで確認しています。
このように借入金額が少額だと金融機関で判断すれば収入証明書の提出がなくてもお金を借りることができます。
ただし、申込書に正直に書かないと審査の途中で「やっぱり出してください」と言われることになりかねません。
まとめ
このように収入証明書がなくてもお金を借りることはできます。
しかし、金融機関の本音は収入証明書が欲しいはずでしょう。
証明書がないと自信を持って審査ができないためです。
もし収入証明書が不要のまま借入ができたとしても、増枠申請などの際には必ず収入証明書の提示を求められると考えたほうがいいでしょう。
銀行や消費者金融のローンは無担保のものが多いです。
住宅ローンのように住宅を担保にしていても、現実に返済能力を判断する際には申込者の収入を基礎にして判断しています。
いくら担保があるからと言っても、最初から担保となる土地建物に抵当権を行使しようとは考えていません。
抵当権の行使は非常手段なのです。
消費者金融の場合は総量規制を守る必要もあり、収入証明書が必要だという事情があります。
しかし、銀行も収入証明書は審査で非常に大切な書類なのです。