借金の金額が多くなると毎月の返済額も増加します。
すると気が滅入ってしまい、場合によっては精神科のドクターの世話になることもあるようです。
ただし、精神科のドクターも他人のお金の管理まではできません。
気休め程度の精神安定剤を投与しても改善の見通しは立たないでしょう。
それより効果的な方法は、おまとめローンだったりするのです。

とはいえ、おまとめローンで毎月の支払を管理しようとしても限界があります。
金利は多少下がりますが、毎月の支払額が思ったほど下がらないことも少なくありません。
そのような場合は債務整理を検討したほうが賢明であることも少なくありません。
債務整理というと、自己破産を思い浮べる人もいらっしゃるでしょう。
しかし、世の中にはもっとマイルドなタイプの債務整理が存在します。

債務整理とは?

債務整理とは、自分の契約している借金の契約を変更することを言います。
種類は大別して2つあり、法律に基づく方法と、法律に基づかない方法の2つに分けられると言っていいでしょう。

ともに、現在交わしている借入契約を変更するわけですが、法律に基づく自己破産のように裁判所から「免責」を認めてもらい、借入の契約を帳消しにしてもらうケースが一番ハードな債務整理です。
人生再出発のきっかけとすることが多いでしょう。

また、法的整理には住宅ローンの利用者が利用する事が多い、個人再生という方法もあります。
これは住宅ローンには手を付けず、他のローンだけを整理対象とするものです。
住宅ローン以外の債務を最大9割程度カットするもので、効果は絶大でしょう。

これに対し、法律に基づかず、弁護士などの法律家に依頼して消費者金融などと交渉をする任意整理という方法もあります。
この場合、借入契約の内容を変更する「和解」を交わし、和解通り支払うことを条件にして利息をゼロにすることが多いです。

このような債務整理は、借りた側としては都合がいいのですが、貸した側にとっては負担が生じます。
自己破産のような場合は貸付金がすべて貸倒として消滅してしまうため、簡単に応じることができるわけではありません、
また、任意整理であっても元本の回収は期待できるものの、収益である利息収入を放棄することになります。
自己破産よりは「マシ」でしょうが、こちらも簡単に応じることはできません。

しかし、実際には債務整理が始まると、申請通りに通ってしまうことがほとんどです。
法的整理については、文字通り法律に基づいてなされる債務整理なので、裁判所が許可をしてしまったら消費者金融などの金融機関はそれに従うしかありません。
特に自己破産は一時期より件数は半減しているものの、裁判所はほぼすべて免責にしています。

また、個人再生については、担保物件である住宅の時価と住宅ローンの残債の関係によっては簡単に通らないケースもありますが、弁護士さんの仲介で最終的に落ち着くべきところに落ち着くケースが大半です。
法律に基づかない任意整理については、弁護士さんに依頼すればほぼ間違いなく利息減免を勝ち取ることができます。
金融機関側も簡単に応じないという姿勢を見せるようですが、下手に抵抗して自己破産などをされるよりマシだという判断に落ち着くようです。

とはいえ、債務整理は自分でやってできないことはありませんが、現実的ではありません。
最近は裁判所もずいぶんと親切な対応をしてくれるため自己破産は自分でやってしまう人もいらっしゃるようですが、手間と時間がかかります。
個人再生のように交渉が必要な手続は更に面倒で、弁護士さんなどに依頼しないと事実上無理だと言われています。

このことは任意整理の場合は更に顕著で、個人で消費者金融などに行き、本などで調べた任意整理の方法をもとにして和解の交渉をしようとしても相手にされません。
それどころか逆におまとめローンを勧められることが多いです。

一番怖いのは、延滞などがある人が自分で任意整理をトライすることです。
この場合、相手にされないどころか自己破産などの手段に出られることを警戒して、債務確認の訴えを簡易裁判所に起こし、給与などの差押という手段に出られてしまう可能性があります。
債務整理をするのであれば、債務整理を得意とする弁護士に依頼することが賢明と言えるでしょう。

債務整理のメリット・デメリット

このように弁護士さんを依頼すると、債務整理は自分の思惑通り進むことが多いです。
もっとも、事前に弁護士さんが債務整理の可否を検討していることも一つの要因ですが、弁護士さんがゴーサインを出せば失敗することはないと考えていいでしょう。

しかし、債務整理にはメリットだけではなくデメリットもあります。
自己破産や個人再生のような法的整理の場合、一番のデメリットは官報に載ることです。
官報など誰も見ていないと思われがちですが「業界の方」はしっかりとチェックしています。
業界の方とは、金融機関や信用情報機関だけではなく、興信所や私立探偵事務所も含まれます。
興信所や私立探探偵事務所は就職や結婚の際に相手がチェックする手段として案外利用されているため油断できないのです。

また、官報に載ることで厄介なのが、掲載直後のヤミ金や詐欺師の「セールス」です。
法的整理後に官報に名前が載ると、すぐにヤミ金などのダイレクトメールや訪問が多発します。
この人たちも官報をしっかりチェックしているのです。

債務整理を多く手掛けている弁護士さんは、自己破産直後に引っ越しをしろと勧めるケースもあるほどです。
更に最近の官報は紙ベースではなく、PDFベースになっている点も始末が悪い点として挙げられます。
PDFになっているということは、情報を大量に処理することができることを意味し、実際に検索をかければ自己破産の情報を探すことができるので怖い存在です。

紙ではない電子データで処理できるということは、官報に掲載されるデメリットを非常に拡大させています。
一生消えない情報として残り続けるため、弁護士さんによっては若い人には法的整理を絶対に勧めないと言う人も少なくないのです。

では、任意整理であればどうでしょうか。
任意整理は法律に基づかない債務整理なので官報に載ることはありません。
しかし、「契約変更」と名目で信用情報機関に登録されます。
俗に「ブラックリスト」と言われる話です。
この手の登録がされてしまうと、5年間は情報が消えません。
消費者金融も信販会社も信用情報はチェックしていますから、新規申込をしても相手にされません。

では、5年間我慢していればいいのでしょうか。
任意整理をした金融機関は、そのデータを永遠に保管するでしょうから、同じ金融機関でローンやクレジットカードの申込をしても審査には通らないでしょう。
また違うクレジットカードなら大丈夫ということではなく、同じ信販会社や系列の金融機関なら同様です。

金融機関の審査では「スーパーホワイト」という言葉があります。
信用情報を取り寄せたものの、何のデータもない人のことを言います。
新社会人などであれば別として、今のご時世にクレジットカードもカードローンも一度も使ったことがないという人は存在しないと考えるのが普通です。

しかし、「スーパーホワイト」の状態にあるということは「何かの事情」があるだろうと言う理由で審査をしないケースが多いのです。
ブラックリストに載って5年後にクレジットカードを申し込んでもことごとく審査落ちになったという人が多いのですが、このような理由です。

債務整理は自分の債務を減らすことで、毎月の支払額を軽減したりゼロにしたりすることができます。
しかし、その反面大きなデメリットもあることは知っておくべきでしょう。

おまとめローンと債務整理どっちがお得

このようなメリットとデメリットがある点を確認した上で、おまとめローンと債務整理を比較してみましょう。
おまとめローンは債務を一本化することで金利を下げる効果により、毎月の返済額を減らすことができます。
多くの金融機関がメリットとして宣伝しているため知っている人も多いでしょう。

これに対し、債務整理はもっとドラスティックな手段で債務を圧縮します。
任意整理であれば金利をゼロにしますから、返済額は著しく減少します。法的整理であればもっと効果は大きいでしょう。
例えば、200万円を3年間で18%の金利で返済している場合、毎月72,304円の返済になります。
これをおまとめローンにしても消費者金融であれば金利は15%程度なので返済額は69,330円です。
12%にしても66,428円とあまり変わりません。

しかし、任意整理をすると、元本返済だけなので毎月55,555円の返済になります。おまとめローンでは3千円とか6千円程度の改善効果しかないにもかかわらず、任意整理をすれば一気に1万6千円の改善効果が得られるのです。
しかも気になる弁護士報酬は分割払いができます。
任意整理開始とともに金融機関への返済は一時停止されるため、和解成立まで毎月の支払額を弁護士報酬の分割払いに充てることができます。
これが元本までカットされる法的整理であれば効果はさらに大きくなることは言うまでないでしょう。

しかし、債務整理にはデメリットがあります。今のご時世にクレジットカードを新しく5年間申込ができないという点は大きなハンディです。
また、任意整理の対象にしなかったクレジットカードは更新をしてくれないでしょう。
債務整理を得意としている弁護士さんは、更新の際に信用情報を確認され、任意整理の事実を関係のない信販会社に把握されないため、クレジットカードをすべて解約するようにと言われることがあります。

最近はデビットカードが普及しているため、とりあえず心配はいりませんが、ガソリンスタンドやインターネットプロバイダーではデビットカードを使えません。
また、提携クレジットカードを持っていることで審査を省略している賃貸住宅では、家賃支払ができなくなるため、退去を迫られるでしょう。

債務整理かおまとめローンかの選択に迷った場合、まずはおまとめローンで対処できないかを考えるべきでしょう。
安易に債務整理をすることはただ単にブラックリストに載るだけではなく、それ以後のリスクも大きいです。

特に最近は金融機関の合併や提携が盛んです。
自分が任意整理をした金融機関が大手金融機関に吸収されたりしたら、データは共有されると考えたほうがいいです。
事務の効率化のため、電算系のシステムは遅かれ早かれ共有化されるためです。

ただし、おまとめローンの検討をしても支払が継続できないという状況であれば、迷わず債務整理を検討すべきです。
目安として、自分の手取り収入の半分以上を借金返済に充てているような生活は長続きしません。
もしそのような事態に陥っていたら、迷わず債務整理を得意とする弁護士さんに相談すべきです。

ではどうしましょうか?

借金が多くなると毎日憂鬱になります。
そのような人の中には、本当に債務整理を必要とするほど追い詰められている人も少なくありません。
そのような人は躊躇している余裕はありません。
借金より自分の人生の方がよほど大切です。

しかし、借金が多いとぼやいている人の中には、ただ単に支払先が多いだけで実際の借入金はさほど多くないこともあります。
最近の消費者金融は、少額の申込であれば収入証明書がなくても契約ができるようになりました。
そのため、収入証明書の提出を避けるために複数の消費者金融に申込をする人も多いようです。

このような利用をしていると、一つの消費者金融で限度オーバーになり、別の消費者金融でも限度オーバーになりという悪循環になります。
これにクレジットカードのリボ払いが加わると、毎月の支払が実際より多いように思えてしまうことがあるかもしれません。

このような場合は、支払自体に問題はなく、ただ単に借金のバランスが悪いだけなのでおまとめローンが非常に大きな効果をもたらすでしょう。
おまとめローンにすることで自分の借金がいくらあるかわかるでしょうし、完済までの道筋も明確になるはずですし、当然支払は毎月1回なので気分的にもすっきりするはずです。
考えようによっては、おまとめローンの一番の効果はこのスッキリ感かもしれません。

おまとめローンか債務整理かを迷ったら、まずおまとめローンを考えてみましょう。しかし、現在の借金の返済額が収入の半分以上になっていたら、弁護士さんに相談する必要があります。