住宅ローンを返済し続けている人の中には、今のローンより有利なローンがあるのではないかと他の住宅ローンを検討している人もいるでしょう。
ただし、住宅ローンは銀行の口座と一体化していることも多く、簡単に返済できないことも事実です。

給与振込口座やクレジットカードや公共料金などの引落口座になっていることも多いため、変更にはかなりの手間がかかります。
また、住宅ローンの借り換えは登記の変更を伴うため費用が必要です。
他のローンの借り換えで費用が発生するものは少ないことから、住宅ローンの借り換えを躊躇させる一因となっています。

しかし、借り換え結果によっては、それらのデメリットを補って余りあるほどのメリットをもたらすことも少なくありません。

住宅ローンの借り換えってどこでできますか?

住宅ローン金利が下降傾向にあります。
10年ほど前に住宅を取得した人の中には、現在の低金利を何とか自分のものにしたいと考えている人も少なくないでしょう。
ローンの返済額は利率で決まります。
カードローンのように借りた金額に応じて返済額が決まるわけではなく、契約時に返済期間が決まる住宅ローンは金利が高いほど毎月の返済額が多くなるのです。

そのため、マネー雑誌などで住宅ローンの借り換えをすることで家計が楽になると特集を組んでいることも少なくありません。
実際に借り換えをした同僚などの話を聞いても、マネー雑誌通りの回答が返ってくるものです。

しかし、住宅ローンの借り換えは同じ銀行ではできません。
いったん締結したローン契約を変更することは債務整理と同義であり、自分の信用を著しく落とします。
簡単に言えば任意整理をして信用情報に5年間ブラックリストとして登録されることと同じなのです。

必然的に他の銀行に借り換えをすることになりますが、どの銀行にすればいいのか皆目見当がつかないという人も少なくありません。
多くの方は住宅取得時に自分の取引銀行や住宅会社の提携ローンを利用しているため、自分で住宅ローンの検討をしたことはないでしょう。
そのため、いざ借り換えをしようとしてもやり方もわからないし選択の基準もわかりません。

また、住宅ローンの借り換えは、必然的に家庭で利用している銀行取引の大移動も意味します。
住宅会社の提携ローンを組む際に、給与振込銀行を変更することを暗に要請された人も多いでしょうが、住宅ローンの審査は給与振込とセットなのです。
借り換え自体は、自分が住んでいる地域にある銀行のすべてで取り扱っていると考えていいでしょう。

銀行だけではなく、信用金庫やJA、更にはろうきんも取り扱いをしています。
宣伝合戦も活発です。個人取引を充実させたいのはどの金融機関も同じでしょう。
しかし、宣伝が派手なだけに、どこがいいのか迷ってしまうのも事実ではないでしょうか。

住宅ローンの借り換えのメリットって何?

では、住宅ローンの借り換えのメリットとは何でしょうか。

借り換えをした人のほとんどが多少の不便やデメリットは感じつつも、トータルでは満足しています。
毎月の返済額が減っているのですから文句を言う人はいないはずです。
どんなローンでも借り換えをする際には、前後の比較をシュミレーションするはずです。
そして、毎月の返済額が自分の満足のいく水準まで少なくなることを確認してから借り換えを実行しているのです。

返済額が低下する理由は利率の低下ですが、満足している原因はただ単に返済額が減っただけではありません。
少数派ではありますが、借り換えをしてもあまり返済額が減っていない人もいます。
それでも借り換えに踏み切る人は存在します。
利用がわからないという人も多いでしょうが、このような人は変動金利から長期の固定金利に変更しているのです。
金利タイプの差は金利リスクの軽減につながります。
同じ銀行でも金利タイプの変更はできますが、借り換えの際はキャンペーン金利が適用されます。

キャンペーン金利は多くの場合、最初の金利変更時に期限切れとなります。
しかし、キャンペーン幅が短期の金利タイプより少ないとはいえ、長期の固定金利であれば10年単位でキャンペーン金利が適用されます。

金利リスクについては人によって考え方が違います。
日本国債がクラッシュすると危機感をあおるような書籍が氾濫していた時期もありますが、現在の日銀の行動を見てそのような危機を感じる人は少なくなっています。

現在の日銀の行動は、事実上国庫に対して直接貸付をしている状態になっており、経済学の常識で考えれば異常事態であり禁じ手でもあります。
しかし、何の問題もなく日常が過ぎています。
このまま住宅ローン完済まで逃げ切れると考えている人も多いのではないでしょうか。

大学などで経済学を学んだ人は、今の状態が10年単位で続くわけがないと考えている人も少なくありません。
そのような人は現在の低金利のうちに長期の固定金利に借り換えることで国債クラッシュによる金利の暴騰に備えているのです。

借り換えによる手数料や保険代はどうなるの?

このように住宅ローンの借り換えは一見メリットしかないように見えます。
しかし、コストがかかることは案外忘れがちです。

借り換えの際には新しい住宅ローン契約を結ぶため、手数料や登記費用が必要です。
最近は徴収しない銀行もありますが、多くの銀行は保証料を前取りしています。
保証料は借入金額に応じて決まりますが、10万円単位になることがほとんどなのです。

ただし、最近は保険料を銀行負担としていることが多くなりました。
銀行が一括して保険契約をするため、保険会社も低コストで保険サービスを提供することができます。
顧客サービスの一環として保険料を銀行負担としているのです。

また、契約者の平均年齢も若いため低い保険料で保険を引き受けることができることも理由の一つです。
無保険の状態でローン契約を結び、いざという場合に担保権を行使するのは銀行としても大変です。
それより保険で処理したほうが銀行も楽なのです。

住宅ローンの手数料や保証料は銀行によってあまり差はありません。
しかし、保証料を徴収しない銀行もあるため大きな差が出ます。
10万円単位の保証料の支払があるか否かで借り換えに必要なコストは大違いです。

ただし、これらの手数料も長い目で見れば金利の低下による節約額より低額であることが多いです。
銀行の多くは、金利低下のメリットと必要となる手数料を明示した比較表を作ってくれます。
このようなデータをいくつかの銀行でもらってくることで、どこが住宅ローンの借り換えに適しているかがわかるでしょう。

住宅ローン借り替えの審査ってどんな感じ?

住宅ローン借り換えの審査は、最初に住宅ローンを借りた時より厳しいと思ったほうがいいです。
先ほど述べたとおり、最初の住宅ローンは自分が給与振込などをしている銀行か、住宅会社の提携ローンなので、もともと審査は甘めになっているのです。
しかし、借り換えの際にはそのような「配慮」は全くなくなります。
また、借り換えまでには住宅そのものの価値も下がります。

日本の住宅ローンは外国から見ると不思議な存在のようです。
担保を取って金利を下げているにもかかわらず、担保以上の貸付を下げた金利でしているのです。
しかし、担保価値が落ちれば、さすがに住宅ローンとして優遇金利を適用することができないケースもあります。
この場合、収入などでは問題がないと判断されても審査で落とされる可能性があります。

また、先ほど述べた通り、保証料を徴収しない銀行は借り換えコストが軽減されるため人気が高いです。
しかし、保証料を徴収しないということは金融機関としてはリスクを取れないことを意味しており、必然的に審査は厳しくなります。

ローンの保証料は銀行の天下り先である銀行系列の保証会社の運営資金だろうと思っている人も多いようです。
そのような面があることも事実ですが、実際には保証会社がローン契約の保証をしているから銀行はお金を貸すことができるのです。

案外知らない人も多いようですが、契約者によって保証料の金額には違いがあります。
信用があると言われる大企業の正社員の方は保証料ゼロとしているのに対し、自営業の方には異常な保証料率を提示することもあります。
保証料が高いからと住宅取得をあきらめた自営業の方も少なからずいるのです。

実際に借り換えをした人は、最初のローンより時間がかかったり緊張したりしたと言う人が多いです。
最初のローンは住宅会社にすべてお任せという人も多いようですが、借り換えの際にはすべての手続を自分ですることになるためでしょう。

住宅ローンのような高額のローン契約は、契約者が銀行の応接室などで契約の説明を受けてから実印を押すのが本来の姿です。
そのため、会社を一日休暇にして銀行に行くことが多くなります。そのほかにも手間がかかることは覚悟したほうがいいでしょう。

まとめ

住宅ローンの借り換えはマネー雑誌の記事に出でいるほど簡単なものではありません。

まず、どの銀行に借り換えるかを探す必要がありますし、家族の銀行取引も大移動させるため銀行サービス自体の検討も必要です。
いくら金利が下がって毎月の返済額が少なくなってもサービス劣化による手数料支払が発生したら意味がありません。
また、銀行が決まっても必ずしも審査が通るとは限らない点も覚えておくべきでしょう。

条件のいい借り換え契約は、審査が厳しいことが多いです。
信用できる相手だからこそ条件をよくしているのはカードローンなどでも同じはずでしょう。

このように住宅ローンの借り換えは手間がかかるし、審査も厳しいことから結構大変です。
しかし、借り換えを成功させることでローン完済までの期間を短縮したり、家計の負担を軽くしたりすることができます。
最近は子供の教育費が嵩む時期を限定して返済額を減らすことができるサービスを提供していることもあるほどです。

借り換えは金利低下により完済というゴールを近づける効果を求めることが多いです。
しかし、それだけではなく多くの可能性を秘めています。
自分が住宅ローンの借り換えによって何を求めたいかをきちんと決めてから借り換えの検討をすることをお勧めします。