子供に十分な教育を受けさせてやりたいと考えるのは親の願いでしょう。
しかし、資金的な余裕がないと思ったようにいきません。

とはいえ、大学進学のチャンスは事実上一回だけです。
経済的な理由で大学に通うことができなくても、夜学や通信制の大学に通うことでリベンジは可能です。
しかし、できれば普通に大学進学をさせたいと思うものでしょう。

そんな悩みを解決する手段として教育ローンがあります。
一時的に負担が増加する教育費を多年度に分散するとともに、子供が就職するとともに返済の一部負担させることも可能です。
個人向け営業を強化している金融機関にとっても、ライバルとの差別化を図る主戦場になっています。

教育ローンって有利?

金融機関のローンは目的が特定されている場合、金利が低くなり審査も緩めになる特徴があります。

これは、目的を問わないカードローンなどの借入金は使途が不安定であり、返済計画が不明確になる半面、目的が明確なローンはあらかじめ返済計画を立てているケースが多く、資金繰りも立てやすいためです。

教育ローンの場合、一番教育費が集中すると思われる入学当初にターゲットを定め、その時期に必要となる資金を融資することが多いようです。
こうすることで、教育費のピークを後に繰り延べることができ、教育費の資金負担をフラットに近づけることができます。

金融機関は教育ローンを貸し付ける際に審査をしますが、審査では借主である両親の収入と家族状況から資金的な無理が生じないか検討します。
子供が一人なら資金繰りに問題は生じませんが、大学進学間近の子供がもう一人いたりすると資金ショートの恐れがあるためです。

教育ローンは使途が明確であるため金利を低くすることができますし、両親の信用が高ければ低金利が適用されることもあります。
また、必ずしも入学当初だけに必要とされるわけではありません。
入学当初は自己資金で賄い、進学と同時に必要最低限の借入をする家庭もあります。
これは、借入利息を少しでも少なくしようとする目的であり、入学当初から借りてしまうと返済までの期間が長くなるため、借りる時期を遅らせようとしているのです。

このような需要があるため、教育ローンの中にはあらかじめ与信枠を設定し、カードローンのような形でローンの提供をしている金融機関もあります。
教育ローンは貸出金額が大きくなりがちで、自動車ローンと並ぶ金融機関の主力商品です。
そのため、金利引き下げ競争も隣接する金融機関同士で繰り広げられている場合があります。
自分が給与振込などをしている銀行であれば、審査を柔軟に取り扱ってくれることがあります。
とはいえ、一度周囲の銀行などの融資条件をチェックしたほうが賢明でしょう。

融資の範囲ってどこまで認めてくれる?

教育ローンの融資条件として決められている使途は銀行によってマチマチです。
そのため、一概に説明することはできません。

学校納付金は間違いなく融資対象になります。
ただし、遠方の大学に通う子供のために支出するアパートの敷金などが対象になるかは金融機関によって対応が分かれているようです。
利用する親の立場であれば融資対象が広いほうがいいのですが、金融機関側としては通常のフリーローンなどと比べて金利を下げている関係上、あまり広げることもできません。
貸出リスクの問題があるためです。

目安としてはその銀行が取り扱っているフリーローンとの金利を比較し、さほど変わらないようであれば条件は緩いと判断していいでしょう。
しかし、かなりの優遇金利であれば制限がきついと考えたほうがいいかもしれません。
とはいえ、大学で使用する教科書やパソコンでも、学校側から必要だと指定されていることがわかれば融資対象に含めることが多いようです。

また、大学などとタイアップした教育ローンを提供している銀行もあり、この場合は金利が優遇されているものの、融資対象が限定されています。
融資限度額は1千万が上限のようです。
医科大学への進学や海外留学の場合であれば3千万という金融機関もありますがレアケースです。
対象となる学校は学校教育法上などの法律に基づいた学校であれば、たいてい対象になっていると思って間違いないでしょう。
高校や大学などに限らず、専門学校などへの進学の際も対象になることがほとんどです。

ただし、大学入試に失敗して1年間受験浪人する際に通う大学予備校は対象としていません。
予備校の中には学校法人になっている場合もあるようですが、対象外のようです。

国の教育ローンって条件厳しい?

国も教育ローンを提供しており、金利は2.05%と結構低利率です。
国とはいえ実際にローンの取り扱いをしているのは、日本政策金融公庫という国営の政策金融機関になります。
金融機関も昨今の低金利を踏まえて金利を下げていますが、1%台の金利で提供しているローンはさすがに少数派です。
限度額も350万円、海外留学などの場合は450万とそれなりに大きいため、子供の大学進学資金としても対応できます。
ただし、一般の金融機関と比較すると見劣りするでしょう。

審査期間は10日程度とまあまあのスピード感が感じられますが、入金には申込後20日程度と言われており、あまりギリギリの申込では間に合わないかもしれません。
融資対象は、単に入学金や授業料だけではなく、授業で使用するパソコンや通学のための定期券代にも利用できます。
入学初年度はいろいろと費用が多くなりがちなので、このように融通が利くと使い勝手がよくて便利です。
もちろん自宅から遠方の学校に通うことになった子供に対しては、住居費用も対象になります。
民間の金融機関に比べると融資対象は広めに設定しているのではないかと思われます。

国のローンは、主に低所得者を対象としていることが多く、高額所得者の方は利用する事ができないと思われがちでしょう。
しかし、国の教育ローンは必ずしもそのようなことが言えない点が特徴です。

例えば子供の数が5人なら年収1,190万までの世帯でも利用することができます。
子どもが一人であっても年収790万までなら利用できますし、勤続3年未満だったり、居住年数が1年未満だったりという不安定な条件であれば年収が990万まででも利用可能です。
思ったより年収が高くても利用できると思われる方が多いのではないでしょうか。
これは教育費が高額になりやすい実情を踏まえて、年収が多少高くても融資対象者を広げようとする国の政策判断があるためです。

いくらまで借りられる?

上記のように民間金融機関の融資限度額の上限は事実上1千万、国は350万と考えたほうがいいでしょう。
しかし忘れていけないのは、これらの数字が「最大」である点です。
審査の結果、必ずしも自分の希望額が審査で通すことができるとは限りません。

また、教育ローンは目的ローンです。
そのため、目的に合致した金額の範囲内が融資の上限額になります。
申込の際には添付書類として使途を証明する書類が求められます。
入学案内などが一番適しているでしょうが、この中に表示されている入学金などの初年度納付金を借りたいからお金を貸して欲しいというのが教育ローンなのです。

先ほど述べた通りパソコンや教科書などの購入費用も融資対象ですが、学校側から必要であるという説明書などがあることが前提です。
融資対象に含めようとした場合には、これらの書類が必要です。
目的ローンだから優遇されている点は覚えておいたほうがいいでしょう。

教育ローンの審査は厳しい?

教育ローンは、先ほど述べた通り目的ローンなので金利は低く設定されています。
しかし、それは目的が明確であるためです。
つまり必要とすることを証明する添付書類がなければ審査には通りません。

また、金利が低いということは同時に審査が厳しめであることも意味しています。
カードローンの金利が高い理由は貸倒の可能性が高めであるためであり、万が一に備えた保証利用相当額が含まれているのです。

しかし、金利を低めに設定している教育ローンには、そのような余裕がありません。
つまり、信用力が低いと判断されると審査に落とされます。
金融機関によっては別のローンなら審査に通るからと申込の変更を暗にほのめかす場合もありますが、このような理由です。

とはいえ、金融機関は取引が長い顧客を優遇する傾向にあることも事実です。
このような顧客に対して金融機関は「支援」する姿勢で臨みます。
取引が長い顧客であれば相手の素性もわかっているので、万が一の際には対応が取りやすいのです。
また、給与振込をしていれば勤務先も明確であり、貸付金の回収手段も確保できているため審査に通りやすいと言えます。
先ほど、給与振込をしている銀行であれば、審査を柔軟に取り扱ってくれるという話をした理由です。

金融機関の審査面での本音をちょっと知っておくだけで、審査への対応をすることができます。
金融機関の取引は一つにまとめたほうがいいと言われる理由です。

まとめ

子供の進学は一家の一大イベントと言って過言ではありません。
そのイベントの最大の障害が教育費です。

子供が相当優秀で奨学金をゲットできるようであれば問題ありませんが、事実上そのような子供は少数派です。
そのほかの子供の親は、教育費をどのように確保しようかと悩むことになります。
親にある程度余裕があれば、小学生のころから学資のために積み立てをしていることもありますが、大学進学のための教育費を全額賄うことができるほどにはなっていません。
多くの家庭は住宅ローンの返済時期と子供の進学時期が重なります。

いかに両者を併存させるかが両親にとって大きな悩みです。
少しでも教育費の支払を平準化させることが教育ローンの大きな目的です。