お金を貸す際の金利には2つの意味が隠れています。

1つは、金融機関の営業収入としての意味合いです。
もう1つは借り手の評価という意味合いです。

これは、借り手が万が一返済できなくなった場合に備えて引当金を積み立てるという話です。
保証料と言えばわかりやすいかもしれません。

銀行と消費者金融の金利の違いについて

銀行系カードローンと消費者金融のカードローンでは金利水準が違います。
前者は後者より低いことが一般的です。

冒頭に述べたように金利を分解してみると、まず銀行と消費者金融では資金調達コストに差があります。
タダ同然の普通預金や定期預金で預金者から資金調達できる銀行と、低金利とはいえ1%前後の金利で銀行からお金を借りている消費者金融の差なのです。
これだけでもどちらの金利が低いかはすぐにわかるでしょう。

次に保証料という観点から両者の違いを考えてみると、銀行は昔から言われているように貸出姿勢は慎重です。
危ないと思われる顧客に対しては貸付をしません。
結果として保証料は低くても問題はありません。

これに対し、消費者金融は銀行では審査に通らない人に対して貸付をすることで営業をしています。
そのためには、保証料をたくさん徴収しないとリスク管理上問題が生じるのです。

この2つの要因が相まって、消費者金融の方が結果として金利は高くなります。
同じ消費者金融でも、大手の最高金利は18%であるのに対し、中小の場合は20%です。
貸金業法の制限利息の関係上20%の利率を適用できる人は、10万円未満の貸し付けに限られます。
しかし、そのような人は貸倒リスクが高いのです。

一般的に銀行系カードローンは金利が低いけど、審査が通りにくいと言われます。
また、信用がある大企業の正社員の方は消費者金融ではなく、銀行系カードローンの方がいいと言われます。
その理由は金利差にあるのです。

借りる金額や期間で金利は変わる?

金融機関が融資をする際、いくら貸せるかという判断は「与信枠」という概念で決定しています。

お金を借りたら返済しなければいけませんが、与信枠の決定は収入からその人の生活費を引いた金額を基礎にしています。
この差が借りたお金を返済できる余力と考えるわけです。
そして、この余力から逆算していくらまでなら貸していいか算定しています。

ただし、与信枠が計算できたから、そのままカードローンの融資限度額とするわけではありません。
他にローン契約を結んでいたら、その返済が必要になるため与信枠は削られます。
また、初回取引の場合は警戒されるため、与信枠より少額の貸し付けしかしません。
次第に信用がついてくると増枠申請ができる理由です。

この与信枠はそのまま申込者の信用に直結します。
つまり、保証料相当部分が変動するのです。

与信枠が大きな人は返済余力があるため信用できます。
そのため、保証料を低くしても貸付が可能です。
逆に与信枠が小さければ返済余力が少ないため貸倒の危険性が高く、保証料を上げる必要があります。

また、消費者金融の場合は貸付金額が10万円以上の場合は年利18%までの利率を設定できるものの、100万円以上になると年利15%以上の設定ができなくなります。
銀行の場合でも、利息制限法により同様の規制があります。
結果として、借りる金額が大きいほど金利は低くなるのです。

また、借りる期間によっても金利は変わります。
この理由は貸付金額による金利決定要因より単純で、借入期間が短ければ貸倒に陥る可能性が低いものの、長ければ高くなるという理由です。
結果として、短期の借入であれば金利が低くなり、長期なら高くなります。

カードローンの場合は、基本的に契約期間中に借入も返済も自由自在にできます。
その気になれば限度いっぱいまで借り続けることができますから、長期間にわたって限度額いっぱいの貸付をしていると判断されます。
銀行も消費者金融もカードローンの金利が高い理由は、長期貸付金だとみなされているためです。

金利の計算方法

ローン金利の計算は基本的に日割計算です。
毎日利息計算をして1か月間積み上げます。
そして、その合計額を毎月の返済額から控除する形で回収することになるのです。
利息計算の基礎は借入元本のみであり、1か月の間に積みあがった利息部分に対しては利息計算をしません。

もし、利息に対して利息を加算すると表計算の循環参照のようなことになりかねないこともありますが、民法などの法律で利息に対して利息をつけていけないと規定されているのです。
銀行などでマイカーローンを借りた際の返済計画表を見ると、この計算方法と回収方法がよくわかります。
最初の月は返済額のほとんどが利息に充てられるため、元本は減りません。
これに対し、最後の月になると元本返済部分がほとんどであり、利息部分は非常に少額です。

この手のローンは元利均等弁済という方法で弁済することが多く、コンピューターで返済期間に合わせた返済金額を計算してくれます。
ちょっとコツは必要ですが、エクセルなどの表計算ソフトを使えば、自分で計算することも可能です。

銀行や消費者金融のカードローンは、利息計算がちょっと面倒です。
残額が変わっていなければいいのですが、利用も返済も自由自在なので、毎日0時現在の残額に1日当たりの利率を乗じて毎日利息計算をしています。
そのため、カードローン利用者の中には、給料日にその全額をカードローンの臨時弁済に充てる人がいます。
要するに普通預金残高をゼロにするのです。
そして、クレジットカード決済日にキャッシングをして普通預金口座に入金するのです。

最近の消費者金融はスマホで振込指示をすることでキャッシングできます。
そのため、金利負担を少しでも低くしたい人は、多少面倒でもこのような方法を取っています。
引落不能のリスクはありますが、管理をしっかりできる人にはお勧めの方法です。

まとめ

銀行であれ、消費者金融であれ、カードローン金利は高いです。
特に銀行系カードローン金利を他の銀行のローンと比べると、金利の高さは際立っています。
とはいえ、カードローンの中には金利が低い商品があります。
そのようなカードローンは、信用がある人を対象とするVIPローンであり、普通の人は申込ができません。
保証料相当部分を限りなくゼロに近づけることができるため成立するローンです。

また、銀行系カードローンの中には住宅ローン利用者を対象にしているものもあります。
これは住宅ローン利用者に対する顧客サービスという意味もありますが、住宅ローンを返済している人は借入に慎重だという理由で保証料相当額を低くしているのです。

一般的に銀行系カードローンは金利が低い反面、審査が通りにくいと言われています。
しかし、消費者金融でも審査に通りにくいと言われる派遣やアルバイトの人が審査に通る例があるようです。
これは、銀行は長年取引をしている顧客を優遇しているという側面もあるのですが、取引が長いことから貸倒の可能性が低いと判断している側面もあります。

カードローンのような無担保ローンは、契約者の給与収入が担保です。
そのため派遣やアルバイトの方は信用がないと言われるのですが、回収不能になったとしても長年取引ある相手であれば行方を把握することができ、回収の手立てを取ることができます。
結果として低めの金利でも貸付が可能になるのです。
同様な理由で銀行系カードローンは、給与振込口座をその銀行に指定していると審査上有利になります。
給与振込口座としていることで返済の確実性が増し、貸倒の可能性が低くなるのです。
結果として金利が低めでも融資ができるのです。

カードローンに限りませんが、金利というものはローン審査の程度を暗に示しています。
金利が高いローンは審査が緩めでもOKであり、低いローンは審査が厳しくなるのです。